釉薬
うわぐすり異読 ゆうやく・ゆう
名詞多音語
標準
glaze
文例 · 用例
西の方には木曾御嶽が、緩斜の裾を引いて、腰以下を雲の波で洗わせている、乗鞍岳は、純藍色に冴えかえり、その白銀の筋は、たった今落ちたばかりの、新雪ででもあるかのように、釉薬をかけた色をして、鮮やかに光っている。
— 小島烏水 『白峰山脈縦断記』 青空文庫
新火山のことだから、土の締まりは、しッくりしていない、むしろ危ッかしいほど、柔脆の肉つきではあるが、楽焼の陶器のような、粗朴な釉薬を、うッすり刷いた赤る味と、火力の衰えた痕のほてりを残して、内へ内へと熱を含むほど、外へ外へと迫って来る力が、十方無障碍に放射することを感ずる。
— 小島烏水 『火と氷のシャスタ山』 青空文庫
その下の棚に青い釉薬のかかった、極めて粗製らしい壷が二つ三つ塵に埋れてころがっているのを拾い上げて見た。
— 寺田寅彦 『ある日の経験』 青空文庫
壁の嵌め込み棚の中の和蘭皿の渋い釉薬を見る。
— 岡本かの子 『巴里祭』 青空文庫
角箱には鼻っ張りの強い負けぎらいの気性とオリジナルで鋭いしかもデリケートな才能の動きが地味な褐色の釉薬の底から浮き出しているといったようなところがある。
— 寺田寅彦 『柿の種』 青空文庫
花瓶のほうをよく見ていると手づくねの筒形の胴の表面の彎曲、釉薬の自然な斑模様、そういったもののきわめて複雑な変化の中に、いかにも世の中の苦労という苦労を舐め尽くして来たかのような、しかもいかにも女らしい一種の心ばえのようなものがありありと読みとられるようである。
— 寺田寅彦 『柿の種』 青空文庫
ちょうど赤楽の茶※を手にした茶人が、その釉薬のおもしろみに、火の力を感じると同時に、その厚ぼったい口あたりに、茶を啜るときの気持よさを感じるのと同じようなものだ。
— 薄田泣菫 『艸木虫魚』 青空文庫
棚には、紅釉薬の支那大花瓶が飾ってある。
— 宮本百合子 『長崎の印象』 青空文庫