温覚
おんかく
名詞
標準
sense of warmth
文例 · 用例
私の視覚、聴覚、嗅覚、触覚、温覚、圧覚、――どれ一つとして、この女房が満足させてくれなかつたものはない。
— 芥川龍之介 『世之助の話』 青空文庫
むしろ概して苦痛を与える場合が多いのだし、それに酒はむしろ俺を冷静に返し、とぎ澄まされた自分の神経を一本ずつハッキリと意識させるのだけれど――それでいて漠然と俺の外皮をなで廻る温覚は俺をへべれけに酔っ払わしているのだった。
— 聖なる酔っ払いは神々の魔手に誘惑された話 『木枯の酒倉から』 青空文庫
むしろ概して苦痛を与へる場合が多いのだし、それに酒はむしろ俺を冷静に返し、とぎ澄まされた自分の神経を一本づつハッキリと意識させるのだけれど――それでゐて漠然と俺の外皮をなで廻る温覚は俺をへべれけに酔つ払はしてゐるのだつた。
— ――聖なる酔つ払ひは神々の魔手に誘惑された話―― 『木枯の酒倉から』 青空文庫
桐の葉はばさばさと足に落ち、なまぬるい葉肉の温覚が闇の呼吸を運んできた。
— 坂口安吾 『Pierre Philosophale』 青空文庫
政どんはこうして、炬燵の中にまるくなっているうち、やがてうとうとと眠気を催してきたのは、金屏風の視覚から来る快感と、炬燵の中の程よい炭火から起る温覚とが、知らず識らず、昨日来の商売疲れを揉みほごして行ったものと見えます。
— 弁信の巻 『大菩薩峠』 青空文庫