巨口
きょこう
名詞
標準
big mouth
文例 · 用例
峰の茶屋のある峠の上空に近く、巨口を開いた雨竜のような形をしたひと流れのちぎれ雲が、のた打ちながらいつまでも同じ所を離れない。
— 寺田寅彦 『軽井沢』 青空文庫
」と鯉|呑麩の口、蕪村がいわゆる巨口玉を吐く鱸と相似て非なるものなり。
— 泉鏡花 『三枚続』 青空文庫
眠に落ちやうとする時遠く幽かに耳に入る人語の響のやうな水の流を有する深い谷が巨口を開いて時々空に向いて水蒸気を吐く。
— 長塚節 『しらくちの花』 青空文庫
ティアマートが巨口を開いてマルドゥクを飲もうとしたときに彼はその口と臓腑の中に暴風を投げ込んだ。
— スワンテ・アウグスト・アーレニウス Svante August Arrhenius 『宇宙の始まり』 青空文庫
「ヘン、君がか、笑はせらあ、老ライオンの巨口に二十日鼠一匹――と言ひたいところですなあ。
— 嘉村礒多 『足相撲』 青空文庫
けれどもその棒はムク犬の急所に当ることがなく、滅多打ちにのぼせている長太の咽喉の横から、ガブリとムク犬がその巨口を一つ当てましたから、「呀!
— 道庵と鰡八の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
北には仙丈岳が大きく蟠って、大仙丈沢のカール状の窪が正面に巨口を開いている。
— 木暮理太郎 『朝香宮殿下に侍して南アルプスの旅』 青空文庫
三栖庄からして巨口細鱗の鱸がとれたとて進献になると、先ずその一尾を東福寺の斎藤のもとにやった。
— 原勝郎 『東山時代における一縉紳の生活』 青空文庫