遺す
のこす
動詞-五段-サ行動詞-他動詞
標準
to leave (to someone, esp. after one's death)
文例 · 用例
それへも骨肉を分けて血の縁を結んだなら自分の性格の複雑さも増す思いで、分身を雲の彼方にも遺す思いで、自分はどのようにかこの世に足り足らいつつ眼が瞑れることだろう。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
で、もしこれに手を加えて遺すべきものは遺し、新しく加うべき利便はこれを加えたなら、将来、見事な日本の一大観光道筋になろうと思います。
— 岡本かの子 『東海道五十三次』 青空文庫
……ところで、奴が死んでみると、俺たち彼の仲間は、奴の作品を最も正しい方法で後世に遺す義務を感ずるのだ。
— 有島武郎 『ドモ又の死』 青空文庫
僕は其頃ピラミッドでも建てる様な心算で居たのであるが、米山は中々盛んなことを云うて、君は建築をやると云うが、今の日本の有様では君の思って居る様な美術的の建築をして後代に遺すなどと云うことは迚も不可能な話だ、それよりも文学をやれ、文学ならば勉強次第で幾百年幾千年の後に伝える可き大作も出来るじゃないか。
— 夏目漱石 『落第』 青空文庫
これなら、命と取り換えっこのつもりでやりますから」「僕は家内も要らなければ、子孫を遺す気もありません。
— 岡本かの子 『金魚撩乱』 青空文庫
だが夫は毎朝飲むコーヒーだけは、自分で挽いて自分でいれる器用な手つきだけのところに、文化人らしい趣を遺すだけで、あとは日々ただの村老に燻んで行った。
— 岡本かの子 『母子叙情』 青空文庫
けれども、財産を遺すなどは私にとって奇蹟に近い。
— 太宰治 『花吹雪』 青空文庫
道衍白す、虎を養うは患を遺すのみと。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫