薄毛
うすげ
名詞頻度ランク #36955 · 青空 9 例
標準
thinning hair
文例 · 用例
骨組の逞ましい、この女の足袋は、だふついて汚れていた……赤ら顔の片目|眇で、その眇の方をト上へ向けて渋のついた薄毛の円髷を斜向に、頤を引曲げるようにして、嫁御が俯向けの島田からはじめて、室内を白目沢山で、虻の飛ぶように、じろじろと飛廻しに※していたのが、肥った膝で立ちざまにそうして声を掛けた。
— 泉鏡花 『革鞄の怪』 青空文庫
『少いものを唆かして要らぬ骨を折らせるな、娑婆ツ気な老爺めが、』と二人の背後にぬいと立つた…… 苔かと見ゆる薄毛の天窓に、笠も被らず、大木の朽ちたのが月夜に影の射すやうな、ぼけやた色の黒染扮装で、顔の蒼い大入道!
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
」が一時に消えうせて、その代りに黒く潤んだ眼……小さな紅い唇……青い長い三日月眉……ポーッと薄毛に包まれた耳……なぞが交るがわる眼の前に浮かんで来たと思うと、私の首すじのあたりがポカポカと暖かくなるのを感じた。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫
焼杉のサンダル下駄を無雑作に素足の先につっかけて、着古した水色の薄毛の服に小さいエプロンをつけた姿を暢気に仰向け、桃子は庭の芝生のゆるい斜面に臥ていた。
— 宮本百合子 『夜の若葉』 青空文庫
「伊沢さん、いらっしゃい」「いよう、しばらく」 笠原が予告したように、安芸子は三角に折った大きなショールで肩と胸を包み、壁に凭せたいくつかのクッションに上半身を埋め、純白の薄毛布の下に両足をのばしてぐったりしていた。
— 久生十蘭 『雪間』 青空文庫
モスクからの冬仕度はすっかりぬぎすてられ、明るい大通りの雑踏に交って、思いがけない角度からちらりと店さきの鏡やショウ・ウィンドウのガラスに映る伸子のなりはウィーンごのみの、渋くて女らしい薄毛織格子の揃いの服と春外套になった。
— 宮本百合子 『道標』 青空文庫
その薄毛織地のワンピースの衿のところには、肌色と紺のなめしがわでこしらえた椿の花の飾がついている。
— 宮本百合子 『道標』 青空文庫
須美子は、日ごろから着ている黒い薄毛織の服の膝の上に、行儀正しく握りあわせた手をおいて、悲しみにこりかたまって身じろぎもしない。
— 宮本百合子 『道標』 青空文庫