禿げ
はげ
名詞
標準
文例 · 用例
四十を越えた禿げ頭の男からおかっぱの女の子までまじっている。
— 九鬼周造 『祇園の枝垂桜』 青空文庫
腕はその儘、頭だけを屈めてサラリと禿げかゝりのそれを撫でた。
— 中原中也 『医者と赤ン坊』 青空文庫
彼は握太の黄色いステッキを提げ、額が禿げ上つてゐて出ッ腹の太つた男であつた。
— 中原中也 『校長』 青空文庫
右の方を仰ぐと、赤沢岳が無器用な円頂閣のように、幅びろく突ッ立って、その花崗岩の赤く禿げた截断面が、銅の薬鑵のような色をして、冷めたく荒い空気に煤ぶっている。
— 小島烏水 『槍ヶ岳第三回登山』 青空文庫
駒ヶ岳の白い頭は、白崩山の名を空しくせずに、白く禿げて光っている。
— 小島烏水 『白峰山脈縦断記』 青空文庫
眼の前には、雁木の凹みのように、小さな峰が分れて、そこから日本アルプスの禿げた頭が、ぐいと出ている、雪の線が二筋三筋ほど、芒に白い斑が入ったように、細く刻まれて、荒ららかな膚に、美しい白紐を引き締めている。
— 小島烏水 『谷より峰へ峰より谷へ』 青空文庫
雲は東から西へと引いたように取れると一天は石灰洞のような大口を開けて、見る見るうちに次第にひろがり、碧い初冬の冴え返った空が、冷たい鯖色をした湖水のようになって、金光ちらりと黒砂に燃え落ちる、黒砂の一線、天に向って走るところ、頂上火口の赭禿げた土は、火を翳したように眩ゆくなる。
— 小島烏水 『雪中富士登山記』 青空文庫
ボースンは、すぐ前のブリッジから、船長が作業を見ていたために、その禿げた頭を、章魚のように赤くしてあわてたり、怒鳴ったり、あせったりした。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫