裄
ゆき
名詞頻度ランク #4752 · 青空 31 例
標準
distance from the seam in the back of a kimono to the end of the sleeve
文例 · 用例
夫人の顔は、コオトをかけた衣裄の中に眉暗く、洋燈の光の隈あるあたりへ、魔のかげがさしたよう、円髷の高いのも艶々として、そこに人が居そうな気勢である。
— 泉鏡花 『伊勢之巻』 青空文庫
聞澄して、里見夫人、裳を前へ捌こうとすると、うっかりした褄がかかって、引留められたようによろめいたが、衣裄に手をかけ、四辺を※し、向うの押入をじっと見る、瞼に颯と薄紅梅。
— 泉鏡花 『伊勢之巻』 青空文庫
」 と心着くと、これを嫗に握られた、買物を持った右の手は、まだ左の袂の下に包んだままで、撫肩の裄をなぞえに、浴衣の筋も水に濡れたかと、ひたひたとしおれて、片袖しるく、悚然としたのがそのままである。
— 泉鏡花 『悪獣篇』 青空文庫
―― と、うしろから、拳固で、前の円い頭をコツンと敲く真似して、宗吉を流眄で、ニヤリとして続いたのは、頭毛の真中に皿に似た禿のある、色の黒い、目の窪んだ、口の大な男で、近頃まで政治家だったが、飜って商業に志した、ために紋着を脱いで、綿銘仙の羽織を裄短に、めりやすの股引を痩脚に穿いている。
— 泉鏡花 『売色鴨南蛮』 青空文庫
少時すると由三は、薄茶のクシャ/\となツた中|折を被ツて、紺絣の單衣の上に、丈も裄も引ツつまツた間に合せ物の羽織を着て、庭の方からコソ/\と家を出た。
— 三島霜川 『昔の女』 青空文庫
黒斜子に丁子巴の三つ紋の羽織、紺の無地献上博多の帯腰すっきりと、片手を懐に、裄短な袖を投げた風采は、丈高く痩せぎすな肌に粋である。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
ところで、峠の茶屋連中、山家ものでも商人は利に敏い――名物の力餅を乾餅にして貯えても、活計の立たぬ事に疾く心着いて、どれも竹の橋の停車場前へ引越しまして、袖無しのちゃんちゃんこを、裄の長い半纏に着換えたでござります。
— 泉鏡花 『星女郎』 青空文庫
若先生光起は、結城の袷に博多の帯、黒八丈の襟を襲ねて少し裄短に着た、上には糸織|藍微塵の羽織|平打の胸紐、上靴は引掛け、これに靴足袋を穿いているのは、蓋し宅診が済むと直ちに洋服に変って、手車で病院へ駆けつけようという早手廻。
— 泉鏡花 『三枚続』 青空文庫
作例 · 標準
この着物は私の体には裄が少し短い。
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母が仕立ててくれた着物は、私の裄にぴったり合う。
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着物を着る際には、裄の長さに注意して美しい着姿を心がける。
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