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宝丹

ほうたん
名詞
1
標準
type of smelling salts sold in the late Edo period
文例 · 用例
よき物まいらせんとてかの君手さげの内を探りたまいしが、こはいかに宝丹を入れ置きぬと覚えしにと当惑のさまを、貴嬢は見たまいて、いなさまでに候わずとしいて取り繕わんとなしたもうがおかしく、その時もしわが顔に卑下の色の動きたりせば恕したまえ。
国木田独歩 おとずれ 青空文庫
われ二郎に向かいて、御身は宝丹持ちたもうならずやと問えば、二郎、打ち惑いたるさまにてわずかに、しかりと答う。
国木田独歩 おとずれ 青空文庫
貴嬢がこの時の狼狽のさまこそおかしけれ、君よさまでには候わず宝丹には及ばずと訴うるようにのたまいし声はしわがれて呼吸するも苦しげにおわしぬ。
国木田独歩 おとずれ 青空文庫
二郎やむを得ず宝丹取りだして、われに渡しければわれ直ちに薬を掬いて貴嬢が前に差しいだしぬ、この時|貴嬢が眼うるみてわが顔を打ち守りたまいたる、ああ刻き君かなとのたまいしようにわれは覚えぬ。
国木田独歩 おとずれ 青空文庫
貴嬢が掌に宝丹移せし時、貴嬢は再びわが顔を打ち守りたまいぬ、うるみたる貴嬢の目の中には、むしろ一|匙の毒薬たまえ刻き君とのたもう心|鮮やかに読まれぬ。
国木田独歩 おとずれ 青空文庫
貴嬢が眼を閉じて掌を口に当て、わずかに仰ぎたまいし宝丹はげに魂に沁み髄に透りて毒薬の力よりも深く貴嬢の命を刺しつらん。
国木田独歩 おとずれ 青空文庫
されどかの君は大口開きて笑いたまい、宝丹飲むがさまでつらきかと宣いつつわれらを見てまた大口に笑いたもう。
国木田独歩 おとずれ 青空文庫
傍見をしながら、「宝丹はありますかい。
泉鏡花 浮舟 青空文庫
作例 · 標準
江戸時代の末期、宝丹はあらゆる病に効く万能薬として江戸の街で大流行した。
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祖父の古い家を整理していたら、当時のデザインが施された宝丹の小瓶が出てきた。
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歴史小説の中で、旅人が懐から宝丹を取り出して気付けに飲む場面がある。
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