凶刃
きょうじん
名詞
標準
assassin's dagger
文例 · 用例
車駕一たび出で還らず、身凶刃に斃る。
— 南方熊楠 『神社合祀に関する意見』 青空文庫
最後には、家臣をほしいままに手刃するばかりでなく、無辜の良民を捕えて、これに凶刃を加えるに至った。
— 菊池寛 『忠直卿行状記』 青空文庫
各自が胸に手をおいて考え直してみてもわかることですが、ただひっかかりとなりうべきものは、それなる非業の凶刃に倒れた兄少年僧の断末魔のときに叫び残したことばのみがあるばかりでありました。
— 耳のない浪人 『右門捕物帖』 青空文庫
」 横から鳴り屋の太鼓が鳴りだそうとしたのを、名人は微笑しながら目顔で穏やかに押えておいて、じろりと足もとに目を移しながら、非業の凶刃に倒れている三人の子どものむくろを見ながめました。
— 妻恋坂の怪 『右門捕物帖』 青空文庫
お妙――も楽しみにして、ちょっと待っていやれ」 呪いの凶刃 遅い月がヌーッと頭を出して、ほのかに明るい弓町の通りを、風のようにあっちへ抜けこっちへ現れている一つの黒装束!
— 海野十三 『くろがね天狗』 青空文庫
井上侯がまだ聞太といった侍のころ深く相愛して、彼女の魂として井上氏の懐に預けておいた手鏡――青銅の――ために、井上氏は危く凶刃をまぬかれたこともあった。
— 長谷川時雨 『明治美人伝』 青空文庫
再び滝野川の陋宅をも失踪しなければならなくなったのは、その頃交りを結んだ小金井太郎一家が転げ込んで来て、毎晩酒乱で太郎が凶刃を揮うため、私は神経衰弱になってものが書けなくなってしまった上に、博文館関係の雑誌が不況で二、三急に潰れ、まったく収入がなくなってしまったからである。
— 正岡容 『わが寄席青春録』 青空文庫
福沢にとって暗殺の不安が一番大きかったのは明治三年で、村田蔵六がその前年凶刃に斃れたのも福沢の驚きまでにも反動非開明派の手でやられたのである。
— 服部之総 『福沢諭吉』 青空文庫