矯飾
きょうしょく
名詞動詞-サ変動詞-他動詞
標準
affectation
文例 · 用例
「輝ける朝」「嘘をつく日」これらは作者の性格のまがう方なき美しさをはつきりと、而かも何等の矯飾なく暴露してゐる。
— 有島武郎 『水野仙子氏の作品について』 青空文庫
(下略) 嘯詠寒山に擬すの句は、此老の行為に照せば、矯飾の言に近きを覚ゆれども、若夫れ知己に遇わずんば、強項の人、或は呉山に老朽を甘んじて、一生|世外の衲子たりしも、また知るべからず、未だ遽に虚高の辞を為すものと断ず可からず。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫
件の貞盛は、追捕を免れて跼蹐として道に上れる者也、公家は須らく捕へて其の由を糺さるべきに、而もかへつて理を得るの官符を給はるとは、是尤も矯飾せらるゝ也。
— 幸田露伴 『平将門』 青空文庫
貞盛は将門追捕の符を持つて帰つたが、将門の方から云へば貞盛は良兼追捕の符の下つた時、良兼同罪であつて同じく配符の廻つて居た者だから、追捕を逃れ上京した時、公に於て取押へて糺問さるべき者であるにかゝはらず、其者に取つて理屈の好い将門追捕の符を下さるゝとは怪しからぬ矯飾であると突撥ねてゐるのである。
— 幸田露伴 『平将門』 青空文庫
而も、時には偶像としての自己を壇上に置いて私達を冷かに見降さうとする矯飾的態度さへ現した。
— 南部修太郎 『猫又先生』 青空文庫
「馬鹿を言い給え、未完の物なら、発表しはしないよ」岡田がこう云ったのも、矯飾して言ったわけではなかったらしい。
— 森鴎外 『雁』 青空文庫
尤もこの考えている事というのが、告白であるかないか、矯飾をしていないかという疑問が直ぐに伴って来る。
— 森鴎外 『Resignation の説』 青空文庫
もっと立ち入って云えば、自分では云々と考えていると思っても、それは自ら欺いている、即ち自己のために自己を矯飾しているのかも知れない。
— 森鴎外 『Resignation の説』 青空文庫