憂色
ゆうしょく
名詞
標準
melancholy air
文例 · 用例
日出雄少年は憂色を含んで『それでは、稻妻は私共と別れて、單獨で、此淋しい、恐ろしい山を越えて、大佐の叔父さんの家へお使者に行くのですか。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
鏡の中のわが顔に、この世ならず深く柔和の憂色がただよい、それゆえに高雅、車夫馬丁を常客とする悪臭ふんぷんの安食堂で、ひとり牛鍋の葱をつついている男の顔は、笑ってはいけない、キリストそのままであったという。
— 太宰治 『狂言の神』 青空文庫
「顔色ハ白黒ヲ問ハズ眼中涼シクシテ、憂色ヲフクミ左頬ニヱクボアリ、アゴヤヤ長シ」 隠徳の相として挙げられているのは、三項ある。
— 菊池寛 『奉行と人相学』 青空文庫
尚も営々と子々孫々へつゞくのだから、彼等の土蔵は年毎に金袋の置場を造り足して……終ひには何うなることであらう――と私が心配して、源さんの息子の五十歳の源太兵衛に訊ねると、彼は誰でも左うである通りの仏頂面に、稍悲し気な憂色を浮べて、「そんなこと知るものけえ!
— 牧野信一 『その村を憶ひて』 青空文庫
「百合子さんと云ふ代りに村井は、ローラと云ひ換へても、八重さんと云つても――関はないんだつて……」 百合子は何の憂色も浮べずに、「大分話の方向が物騒になつて来たわね。
— 牧野信一 『南風譜』 青空文庫
と、如何した訳か、彼女の顔には喜色の代りに、一抹の憂色が漂いはじめた。
— 小酒井不木 『好色破邪顕正』 青空文庫
困ったことだという憂色が全村に満ちている。
— ――木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師) 『夜の靴』 青空文庫
この朝は神楽坂署の内部は、何となく憂色に閉ざされていた。
— 甲賀三郎 『支倉事件』 青空文庫
作例 · 標準
彼の顔には隠しきれない憂色があった。
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長引く不況に、街にはどこか憂色が漂っていた。
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母の病状を聞いた瞬間、彼女の表情から憂色が消えた。
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