遺業
いぎょう
名詞
標準
work left uncompleted at death
文例 · 用例
このように、故勾当の名も、その日記も、大正四年、正孫の葛原※氏が、その祖父君の遺業を、写真数葉、勾当年譜、逸話集等と共にまとめて見事な一本と為し、「葛原勾当日記」と銘題打って、ひろく世に誇示なされる迄は、わずかに琴の上手として一地方にのみ知られていただけのものでは無かったかと思う。
— 太宰治 『盲人独笑』 青空文庫
昔から、日本三大森林地の一つとして数へられてゐるやうであつて、昭和四年版の日本地理風俗大系にも、「そもそも、この津軽の大森林は遠く津軽藩祖為信の遺業に因し、爾来、厳然たる制度の下に今日なほその鬱蒼をつづけ、さうしてわが国の模範林制と呼ばれてゐる。
— 太宰治 『津軽』 青空文庫
平凡な青年ならできてもできなくとも周囲のものにおだてあげられれば疑いもせずに父の遺業を嗣ぐまねをして喜んでいるだろう。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
紅葉山人が、用語の上に非常な苦心をもって、新らしい試をされたのだけでも氏の遺業は大なるものであると尊ぶのである。
— 宮本百合子 『紅葉山人と一葉女史』 青空文庫
一年程前に死んだのであるが、彼にとつてはもう古い夢のやうで、強ひて思へば、何となく笑ひたいやうな気持(それは丁度、その父がまた先代を笑つてゐたやうに)になる位ひのもので、子に伝ふべき遺業も言説も、また子が、どんな意味に於ても、子として他人に向つて語り得る材もなかつた。
— 牧野信一 『貧しき日録』 青空文庫
(大震大火で家は凡て灰になり、井戸は悉く埋まつた――祖父達の遺業は何一つ残つてゐない。
— 牧野信一 『毒気』 青空文庫
寺田氏の科学的業績を云々する資格はもとよりないのであるけれども、文学的遺業について見ると、寺田氏がこの人生に向った角度にあらそわれぬ明治時代色があり、同時代の食うに困らなかった知識人の高級なディレッタンティズムが漂っているのである。
— 宮本百合子 『作家のみた科学者の文学的活動』 青空文庫
然かも父祖の遺業に安居して天産に衣食せる人民は悠々として世故に迂なるを以て四年の水害に苦しみ四年の凶斂に悩み、更に居村滅亡の猾策に遭ふも詭弁甘言の惑ハす処となりて自ら陥穽に墜落するを知らざるなり。
— 田中正造 『非常歎願書』 青空文庫
作例 · 標準
その歴史学者の死により、長年研究してきた○○に関する遺業は未完のままとなった。
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創業者である父の遺業を継ぎ、会社をさらに発展させる決意を固めた。
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著名な作家が遺した未完の遺業とも言えるその小説は、没後に出版され多くの読者の涙を誘った。
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彼女の遺業である財団は、彼女の志を継ぎ、発展途上国への支援を続けている。
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標準
work one accomplished during one's lifetime
作例 · 標準
田中教授は古代日本文学の研究に生涯を捧げ、その包括的な研究は今や記念碑的な遺業とされている。
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その美術館での回顧展は、初期の抽象画から後期のより具象的な作品に至るまで、その芸術家の多様な遺業を浮き彫りにしている。
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著名な起業家によって設立された財団は、社会貢献という彼の遺業を受け継ぎ、革新的なプロジェクトへの資金提供を続けている。
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故首相が着手した政治改革は、国家の未来を形成する彼の遺業の重要な一部と見なされている。
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