浮かび出る
うかびでる
動詞-一段動詞-自動詞
標準
to surface
文例 · 用例
観客はその夢幻郷の蝴蝶になって観客席の空間を飛翔してどことも知らぬ街路の上に浮かび出るのである。
— 寺田寅彦 『映画雑感(4)』 青空文庫
こんな事を思うにつけて、君の心の目にはまざまざと難破船の痛ましい光景が浮かび出る。
— 有島武郎 『生まれいずる悩み』 青空文庫
「今度こんなひょんな事でわたしアメリカに上陸もせず帰って来る事になったんですが、ほんとうをおっしゃってくださいよ、あなたはいったいわたしをどうお思いになって」 葉子は火鉢の縁に両|肘をついて、両手の指先を鼻の先に集めて組んだりほどいたりしながら、古藤の顔に浮かび出るすべての意味を読もうとした。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
すなわち、画面全体が見るみるぼやけて、そこに過去の話中話が煙りのように浮かび出る――こんなふうに。
— 踊る地平線 『踊る地平線』 青空文庫
民家の群れは月光を浴びて、いやがうへにも白々と輝やき、低い壁が闇のなかに一際くつきりと浮かび出る。
— VECHERA NA HUTORE BLIZ DIKANIKI 『ディカーニカ近郷夜話 前篇』 青空文庫
ドニェープルの波の間からは、身投げをして死んだ娘たちが、列をなして浮かび出る。
— VECHERA NA HUTORE BLIZ DIKANIKI 『ディカーニカ近郷夜話 後篇』 青空文庫
彼女が黙したときに浮かび出る哀愁、それは彼女すら自覚しないもので、幼時からの逆境による潜在性の性質だったのだ。
— 合作の四 『五階の窓』 青空文庫
自分の生活を他人任せ成行任せに押し流して、玉楼の陰であれよし星空の下であれ許された限りの睡りを貪り、分ち与へられた食物に満足して――斯うして万端切羽詰まつた挙句の果に、幸ひにして死ぬことも無く思ひ掛けぬ生活力が浮かび出るなら、何といふ思ひまうけぬ悦びであらうか!
— 坂口安吾 『竹藪の家』 青空文庫
作例 · 標準
例句