心にかかる
こころにかかる
表現動詞-五段-ラ行
標準
to weigh on one's mind
文例 · 用例
今において回顧すれば、その頃の自分は十二分の幸福というほどではなくとも、少くも安康の生活に浸って、朝夕を心にかかる雲もなくすがすがしく送っていたのであった。
— 幸田露伴 『蘆声』 青空文庫
昨日から何となく私の心にかかるものがあって私は今までになく早朝に家を出て河岸の部屋へ来た。
— 岡本かの子 『河明り』 青空文庫
恍惚と顔を上げ、前途を仰ぐように活々した瞳をぱっちりと※いたが、流を見入って、疲れたか、心にかかる由ありしか、何となく弱々と、伏目になってうつむいて、袖口を胸で引き合わすと、おのずからのように、歩が運んで、するする此方へ。
— 泉鏡花 『式部小路』 青空文庫
かげの夫婦は手で抱合うて、かくす死恥旗|天蓋と、蛇目傘開いて肩身をすぼめ、おとせ、あれあれ草葉の露に、青い幽な蛍火一つ、二つないのは心にかかる。
— 泉鏡花 『雪柳』 青空文庫
それに付けても、心にかかるのは彼の二朱銀五個の始末である。
— 夜叉神堂 『半七捕物帳』 青空文庫
「水野殿は格別、伯母の心にかかるは甥の殿の身の上じゃ。
— 岡本綺堂 『番町皿屋敷』 青空文庫
しかしなんといってもいちばん心にかかるものは貞世だった。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
自分の心にかかるすべての重み――物質の威力、道徳の権威、良心の束縛を下界はるかにふり棄てて、空中に吹き散る紙のように、気楽に、面白くひるがえって行きたいのがモダンガールである。
— 夢野久作 『東京人の堕落時代』 青空文庫