天幕
てんまく
名詞
標準
decorative curtain hung from the ceiling
文例 · 用例
霧はフツ、フツと渦巻く、偃松に白く絡んで、火事場の烟でも立つように、虚空を迷っている、天幕の屋根の筋目から仰ぐと、暗灰色の虚空が壁のように狭くなって、鼻の先に突っ立っている、雨と知りながらも、手を天幕の外へ出すと、壁から浸染み出る小雨に、五本の指が冷やりとする、眼がやっと醒める。
— 小島烏水 『白峰山脈縦断記』 青空文庫
と、私は嘆息する、天地の間には、風が吹くのでなければ、霧が流れるのだ、そのたびに、天幕の中へ、ザアと小粒の雨がそそぎ入る、柱代りの金剛杖が、キュッと呻る、杭に纜われた小舟が、洪水に飜弄されるように、油紙の屋根が、ペラペラ動く。
— 小島烏水 『白峰山脈縦断記』 青空文庫
同じ思いが、仲間の顔色に読まれる、飯を炊くのに、未だ時間がある、思い切って天幕から一、二間歩き出した、岩を二ツ三ツ飛び越えて、次第に爪先が上る、無辺無限の単調の線が、どこへ繋がって、どこへ懸っているのか、解らない……やはりあの空線の一つを辿っている。
— 小島烏水 『白峰山脈縦断記』 青空文庫
天幕が霧の中に、小さくぼんやり見える、四ツ柱に、油紙がぺらぺらとして、田舎の卵塔場のようだ、今まで、あそこに寝ていたのか知ら……この霧と雨の中を、たった紙一枚の下に……火光がパッとさす、霧の水球が、美しい紫陽花色に輝いたかとおもうと、消えた。
— 小島烏水 『白峰山脈縦断記』 青空文庫
例の天幕作りに取りかかる、古生層地は白峰までつづき、鳳凰地蔵一脈の間で、深谷にフツリと切れているのが、よく見える、人夫たちは雷鳥三羽を捕獲した、みんなして二羽を醤油飯に、一羽を焼いて喰った。
— 小島烏水 『白峰山脈縦断記』 青空文庫
間もなく南岳の三角測量標に着いた、岳という名はつけられたものの、緩やかな高原の一部で、測量標の東面からかけて、谷に向いて、一丈あまりもあろうとおもう高い残雪が、天幕でも張ったように、盛り上っている。
— 小島烏水 『谷より峰へ峰より谷へ』 青空文庫
油紙の天幕には、チロチロと漣の刻むような光りがする、岩石の間に、先刻捨てた尻拭き紙までが、真赤にメラメラと燃えている、この窪地一帯に散乱する岩石の切れ屑は、柔らかく圭角を円められて、赤い天鵝絨色が潮しはじめた。
— 小島烏水 『谷より峰へ峰より谷へ』 青空文庫
今に雨が降り出すと困るがと思っていると、自分がいつの間にかその船に乗って天幕を張ろうとしている。
— 寺田寅彦 『御返事(石原純君へ)』 青空文庫
作例 · 標準
結婚式の披露宴会場には、豪華な天幕が飾られていた。
幻辭AI · gemini-2.5-flash
劇場の舞台には、季節ごとに変わる美しい天幕が吊るされている。
幻辭AI · gemini-2.5-flash
宮殿の広間を飾る天幕は、職人の手で細かく刺繍されていた。
幻辭AI · gemini-2.5-flash
標準
tent
作例 · 標準
キャンプでは、広い河原に天幕を張って一夜を過ごした。
幻辭AI · gemini-2.5-flash
災害時には、救援物資とともに仮設の天幕が支給される。
幻辭AI · gemini-2.5-flash
軍隊は戦場で、簡易的な天幕を設営して休息を取る。
幻辭AI · gemini-2.5-flash