余香
よこう
名詞
標準
lingering odor
文例 · 用例
法諡は梅余香以居士。
— 森鴎外 『細木香以』 青空文庫
何事も無かつた様な、まだ身体の何処やらに石油の余香を捧持してゐさうな、丈高いこの友の前に立つても可笑しく、あとになつても可笑しかつた。
— 若山牧水 『木枯紀行』 青空文庫
僅々存九※之余香爾。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
殊に今日は梅の老木に花が匂い出したのを見て、心の中でその風趣をいたわりながら、いつまでもその余香を嗅いでいるのである。
— ――黙子覚書―― 『夢は呼び交す』 青空文庫
毅堂が「悼亡」の絶句七首の一に「何由幼稚記風ヲ記ス/逝クヲ傷ミ孤ヲ憐ミ感窮マラズ/他日衣ヲ奉ジテ母ニ見ユルガ如シ/余香留マリテ在リ一箱ノ中〕男文豹は四歳にして慈母を喪ったのである。
— 永井荷風 『下谷叢話』 青空文庫
撫で肩に自棄に引っかけた丹前、ほのかに白粉の移っている黒|襟……片膝立てた肉置もむつちりと去りかけた女盛りの余香をここにとどめている景色――むらさきいろの煙草の輪が、午さがりの陽光のなかをプカリプカリと棚の縁起物にからんで。
— 乾雲坤竜の巻 『丹下左膳』 青空文庫
携去吟※西又東、英盆江畔訪沙翁、依然三百年前跡、遺墨余香満故宮。
— 井上円了 『南半球五万哩』 青空文庫
しかしその一木一草には、古の奈良の都の余香がしみわたっている。
— 亀井勝一郎 『大和古寺風物誌』 青空文庫