折れ目
おれめ
名詞
標準
a fold
文例 · 用例
船体を白く塗つてゐないから、白鳥とは見えないが、又鰭を振る魚とも見えない、船の長さ七間半、幅四尺、深さ三尺ぐらゐで、両方の舷側には、小さな穴を明け、棕櫚繩で、長さ九尺ぐらゐもあらうかといふ樫製の櫂を、左右に二挺結びつけてある、櫂の折れ目に鉄環でツギをあてたのもある。
— 小島烏水 『天竜川』 青空文庫
停車場近くの神社で花崗石の石の鳥居が両方の柱とも見事に折れて、その折れ口が同じ傾斜角度を示して、同じ向きに折れていて、おまけに二つの折れ目の断面がほぼ同平面に近かった。
— 寺田寅彦 『静岡地震被害見学記』 青空文庫
するとまったく完全な釘と見え、――折れ目は見えなくなった。
— THE MURDERS IN THE RUE MORGUE 『モルグ街の殺人事件』 青空文庫
そのギャップを、強引にこのごろまたはやり出しているニイチェ風に押しきり得るものか、あるいはその折れ目からかえって全くインテリゲンチア的に虚無的な低下へまで堕ちこむか、私たちは、石坂洋次郎がすでに一つの重大な内容をはらんだ前進をよぎなくされていることを感じるのである。
— 宮本百合子 『一九三四年度におけるブルジョア文学の動向』 青空文庫
用事で公園をいそぎ足にぬけていたら、いかにも菊作りしそうな小商人風の小父さんが、ピンと折れ目のついた羽織に爪皮のかかった下駄ばきで、菊花大会会場と立札の立っている方の小道へ歩いて行きました。
— 宮本百合子 『二人の弟たちへのたより』 青空文庫
その黄色い皮膚、薄汚い襞々は、まるで因果絵についた、折れ目のように薄気味悪く、フローラは全身の分泌物を絞り抜かれたような思いだった。
— 小栗虫太郎 『紅毛傾城』 青空文庫
午後六時―七時、茶色のカバンを下げた男、肱の折れ目に手提カバンの鞁ひもをかけてぶら下げた若い娘たち。
— 一九二九年(昭和四年) 『日記』 青空文庫
その折れ目、耳を立てたのを角山という。
— 恩地孝四郎 『書籍の風俗』 青空文庫