孤影
こえい
名詞
標準
lonely figure
文例 · 用例
あの西行のやうな牧水氏が、遠いところから訪ねて來て追ひ歸され、孤影悄然として門を出て行く姿を考へ、名状できない寂しさと、氣のすまない思ひで一杯になつた。
— 萩原朔太郎 『追憶』 青空文庫
ただもう、命が惜しくて、金が惜しくて、そうして、出世して妻子をよろこばせたくて、そのために徒党を組んで、やたらと仲間ぼめして、所謂一致団結して孤影の者をいじめます。
— 太宰治 『美男子と煙草』 青空文庫
――孤影雪に碎けて濛々たる中に、唯見れば一簇の雲の霏々として薄く紅なるあり。
— 泉鏡花 『花間文字』 青空文庫
……そのあとへ、人魂が一つ離れたように、提灯の松の下、小按摩の妄念は、列の中へ加わらずに孤影|※然として残っている。
— 泉鏡花 『怨霊借用』 青空文庫
貞盛は良兼には死なれ、孤影蕭然、たゞ叔母婿の維幾を頼みにして、将門の眼を忍び、常陸の彼方此方に憂き月日を送つて居た。
— 幸田露伴 『平将門』 青空文庫
私はただ屏風の巌に、一介の栄螺のごとく、孤影|煢然として独り蓋を堅くしていた。
— 泉鏡花 『白花の朝顔』 青空文庫
触るゝものゝ眼である限りは蜻蛉のそれであつても怕れ戦くのだ――などゝ云つてゐたが、孤影が生むところの尽きざるものゝ眼は、どちらを向いてもしんしんとこの身に迫つて来て、鉾を構へる術もないのだ。
— 牧野信一 『ベツコウ蜂』 青空文庫
私は兼々僧侶の如き孤影を曳いて何の不足も覚えぬと自認もし、人にも告げてゐたにも関はらず、うつかりと花やかな町で、どうした風の吹きまはしであつたのか凡そ趣味にも柄にもなかつたのに三味線の音などに聴き惚れたところ、無惨にもゴノコツケンの保菌者になつてしまつた。
— 牧野信一 『風流旅行』 青空文庫
作例 · 標準
雪の降る中、駅のホームに彼の孤影がたたずんでいた。
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都会の雑踏の中に、時折、寂しげな孤影を見かけることがある。
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彼は長年、孤影とともに旅を続けてきた。
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