恩徳
おんとく異読 おんどく
名詞
標準
grace
文例 · 用例
蔵人の鷺ならねども、手どらまへた都鳥を見て、将軍の御威光、殿の恩徳とまでは仔細ない、――別荘で取つて帰つて、羽ぶしを結へて、桜の枝につるし上げた。
— 泉鏡花 『妖魔の辻占』 青空文庫
我々は時間を徒費しつつ電車の恩徳を難有がらなければならんのだ。
— 内田魯庵 『駆逐されんとする文人』 青空文庫
私達が清水に居た時分のこと、目白が二三羽飼つてあつたが、或時もやつて来てその目白が餌を食べたり水を浴びたり高音に囀つたりしてゐるのを見て、有難い/\これもみな仏の慈悲恩徳のお蔭だといつて、その鳥籠に向つて頻りに合掌念仏したものだつた。
— 加能作次郎 『乳の匂ひ』 青空文庫
一方は婚を以て恩徳のごとく心得、一方はその徳を徳とせずしてこれを賤しむの勢なれば、出入の差、甚だ大にして、とても通婚の盛なるべき見込あることなし。
— 福沢諭吉 『旧藩情』 青空文庫
幕府の末年に強藩の士人等が事を挙げて中央政府に敵し、其これに敵するの際に帝室の名義を奉じ、幕政の組織を改めて王政の古に復したるその挙を名けて王政維新と称することなれば、帝室をば政治社外の高処に仰ぎ奉りて一様にその恩徳に浴しながら、下界に居て相争う者あるときは敵味方の区別なきを得ず。
— 瘠我慢の説 『瘠我慢の説』 青空文庫
明治三十三年二月紀元節慶応義塾社中某々|誌 凡そ日本国に生々する臣民は、男女老少を問はず、万世一系の帝室を奉戴して、其恩徳を仰がざるものある可らず。
— 慶応義塾 『修身要領』 青空文庫
この長年月に亙つて受けた恩徳は、何日かは必ず返報せなければならぬ。
— 桑原隲蔵 『大師の入唐』 青空文庫
とある如く、孔子は明かに恩徳ある者と怨讎ある者とを區別して、以徳報怨といふ無差別的博愛には贊成を表せない。
— 桑原隲藏 『支那の孝道殊に法律上より觀たる支那の孝道』 青空文庫