腫物
しゅもつ
名詞
標準
swelling
文例 · 用例
あるちょっとした腫物を切開しただけで脳貧血を起して卒倒し半日も起きられなかった大兵肥満の豪傑が一方の代表者で、これに対する反対に気の強い方の例として挙げられたのは六十余歳の老婆であった。
— 寺田寅彦 『追憶の医師達』 青空文庫
五日すぎから、腰の右方に腫物ができて、粗末にしてゐたら次第にそれが成長し、十五日までは酒を呑んだりして不安の氣持をごまかしてゐましたが、たうとう十六日からは、寢たつきりになつてしまひました。
— 太宰治 『知らない人』 青空文庫
その、「二箇のズルフオンアミド基」を有する高級化學療法劑に就いては、かねて新聞廣告に依つても承知してゐたのでありますし、いま自ら購ひ求めて、藥品に添附されて在る一枚の效能書をつくづく眺め、熟讀して、腰の腫物を忘却してしまふほど安心したのであります。
— 太宰治 『知らない人』 青空文庫
腫物が、なほるばかりでなく、肌がなめらかになり色が白くなるかも知れない、と家の者に冗談を言ひ、靜かに横臥し、藥のききめを待つてゐました。
— 太宰治 『知らない人』 青空文庫
二錠づつ、一日三囘服用すると、たいていの腫物は、なほるといふ效能書の言葉だつたのですが、二日服用しても、三日服用しても、ちつとも輕快になりません。
— 太宰治 『知らない人』 青空文庫
腫物はいよいよ發展し、いまは膏藥では間に合はず、脱脂綿に無刺激の油藥を塗つて患部に貼りつけ、日に五、六囘も貼りかへなければなりませんでした。
— 太宰治 『知らない人』 青空文庫
腫物で死ぬ奴も無いだらう、などと強がりを言つて、醫者に見せようともしませんでしたが、どうも、夜半ひとり眼覺めて、いろいろのことを考へると、なかなかに心細くなるのでした。
— 太宰治 『知らない人』 青空文庫
それがなんだか若芽についたあぶら蟲か、腫物につけた蛭の群のやうに、ぎつしり詰まつて身動きも出來さうにない。
— 寺田寅彦 『伊香保』 青空文庫
作例 · 標準
腕に変な腫物ができているのに気づき、悪化する前に慌てて皮膚科へ行った。
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腫物を無理に潰そうとして、かえって炎症が広がり酷い痛みになってしまった。
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彼は自分の触れてほしくない過去の話になると、途端に腫物に触るような態度を取る。
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