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鋳込み

いこみ
名詞
1
標準
casting
文例 · 用例
佐竹はハンケチをていねいに畳んで胸のポケットにしまいこみながら、よそごとのようにして呟いた。
太宰治 ダス・ゲマイネ 青空文庫
いっぱいに拡がった鼻の孔は、凍った空気をかみ殺すように吸いこみ、それから、その代りに、もうもうと蒸気を吐き出した。
黒島伝治 渦巻ける烏の群 青空文庫
今日の父は用向きがまったく失敗に終ったこと、父が侮蔑だと思いこみそうなことを先方からいわれて胸を悪くして帰ってきたこと、それをも手に取るように感ずることができた。
有島武郎 星座 青空文庫
渡瀬は計算用の原稿紙を一まとめにして懐ろにしまいこみながら、馬鈴薯から安価な焼酎と、そのころ恐ろしく高価なウ※スキーとが造りだされる化学上の手続を素人わかりがするように話して聞かせた。
有島武郎 星座 青空文庫
この時始めてそれに気がつくと、人見は話の糸目を探りあてたように思って、落着きを見せて畳の上の金を蟇口にしまいこみながら、「こりゃいよいよ冬が来るんだよ。
有島武郎 星座 青空文庫
豹一の成長と共にすっかり老いこみ耄碌していた金助が、お君に五十銭貰い、孫の手をひっぱって千日前の楽天地へ都築文男一派の新派連鎖劇を見に行ったその帰り、日本橋一丁目の交叉点で恵美須町行の電車に敷かれたのである。
織田作之助 青空文庫
人の出盛る頃に運悪い夕立が来て、売物の扇子を濡らしてはと慌てゝしまいこみ、大風呂敷を背負ったまゝあるしもたやの軒先に雨宿りした、が、何の因果かそこは妹のまつ枝が女中奉公している家だった。
織田作之助 俗臭 青空文庫
そのために借金が何でも六百円ばかり殖えて、取れるなら岩谷から取れというんだけれど、出しもしないし言ってもやれないし、そのままになったけれど、とかくお終いは芸者が背負いこみがちのものよ。
徳田秋声 縮図 青空文庫