命の綱
いのちのつな
名詞
標準
the thread of life
文例 · 用例
さて、これがわかった以上、この命の綱を少しばかり強くすれば、今後は少なくもこの同じ原因から起こる事故だけはもう絶対になくなるわけである。
— 寺田寅彦 『災難雑考』 青空文庫
それは他でもない、吾等が生命の綱と頼む沙魚の肉がそろ/\腐敗し始めた事である。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
あの日彼女は妹を負ぶい、金をもらいに銀子を訪ねて来たのだったが、自動車から抱き降ろされ、真蒼になって二階へ担ぎあげられるのを見て肝を潰し、駈け出して来て家へ泣き込んだのであったが、一家の生命の綱と頼む姉が倒れたとなると、七人の家族がこの先きどうなって行くであろうか。
— 徳田秋声 『縮図』 青空文庫
哲学に迷い、イデオロギイに中毒して、神経衰弱を生命の綱にしている現代の青年が、百年考えても実践出来ない人生の千山万岳をサッサと踏破り、飄々乎として徹底して行くのだから手が附けられない。
— 夢野久作 『近世快人伝』 青空文庫
」「教場の普請を為るところがあるので、今日半日と明日明後日と休課になつたものですから」「おや、さうかい」 唯継と貫一とを左右に受けたる母親の絶体絶命は、過ちて野中の古井に落ちたる人の、沈みも果てず、上りも得為ず、命の綱と危くも取縋りたる草の根を、鼠の来りて噛むに遭ふと云へる比喩に最能く似たり。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
女の軽業師はとうとう命の綱を踏み外してしまった。
— 石燈籠 『半七捕物帳』 青空文庫
ところがそれのみを命の綱と縋つて来た電線が、橋の中ほどのところで、ほつつり絶えて了つた時には、私は何うしやうかと思つた。
— 田山録弥 『地震の時』 青空文庫
クララの燃える眼は命の綱のようにフランシスの眼にすがりついた。
— 有島武郎 『クララの出家』 青空文庫
作例 · 標準
深い谷底に落ちそうになった彼は、崖から突き出た一本の木の根を命の綱として必死に掴んでいた。
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戦時中の疎開先で、祖母が肌身離さず持っていたのは家族の写真という名の命の綱だった。
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孤立した集落に物資を運び込む唯一の細い山道が、住民たちにとっての命の綱となっている。
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