空想的
くうそうてき
形容動詞
標準
imaginary
文例 · 用例
空想的な人物であつた彼女のお母さんは、アメリカで金持になつてゐる親戚に会ひに行つて、家を建てて貰はうなぞと考へた。
— 中原中也 『デボルド―※ルモオル』 青空文庫
只自身家庭趣味の経験に乏しく、或は陋劣なる家庭にありながら、徒らに口の先、筆の先にて空想的家庭を説くは、射利の用に供せらるる以外には、何等の意義なしと云ってよかろう。
— 伊藤左千夫 『家庭小言』 青空文庫
空想的な、虚構の世界である。
— 南部修太郎 『探偵小説の魅力』 青空文庫
さて、探偵小説の世界は空想的な、虚構のロマンスの世界であるが、新しい探偵小説には指紋だの、顯微鏡だの、化學分析だの、催眠術だの、犯罪骨相學だのと云つた、實際的な科學的要素も色々に點綴されて、一そう筋を複雜にし、興味を深めてゐるやうに思はれる。
— 南部修太郎 『探偵小説の魅力』 青空文庫
またもしそれが夢幻的空想的であるとしても、日本人のそれのように濃厚に圧縮されたそうして全国民に共通で固有な民族的記憶でいろどられたものではおそらくあり得ないであろうと思われる。
— 寺田寅彦 『俳句の精神』 青空文庫
今の子供らがおとぎ話の中の化け物に対する感じはほとんどただ空想的な滑稽味あるいは怪奇味だけであって、われわれの子供時代に感じさせられたように頭の頂上から足の爪先まで突き抜けるような鋭い神秘の感じはなくなったらしく見える。
— 寺田寅彦 『化け物の進化』 青空文庫
このはなはだ杜撰な空想的色彩の濃厚な漫筆が読者の中の元気で自由で有為な若い自然研究者になんらかの新題目を示唆することができれば大幸である。
— 寺田寅彦 『自然界の縞模様』 青空文庫
どんな空想的な夢物語でも多感な抒情詩でも、それが真の記録であるゆえに有益であり同時に美しいというのである。
— 寺田寅彦 『科学と文学』 青空文庫