暗灰色
あんかいしょく異読 あんはいいろ
名詞
標準
dark grey
文例 · 用例
霧はフツ、フツと渦巻く、偃松に白く絡んで、火事場の烟でも立つように、虚空を迷っている、天幕の屋根の筋目から仰ぐと、暗灰色の虚空が壁のように狭くなって、鼻の先に突っ立っている、雨と知りながらも、手を天幕の外へ出すと、壁から浸染み出る小雨に、五本の指が冷やりとする、眼がやっと醒める。
— 小島烏水 『白峰山脈縦断記』 青空文庫
同時に煙の色が白っぽくなって形も普通の積乱雲の頂部に似て来た、そうしてたとえば椎蕈の笠を何枚か積み重ねたような格好をしていて、その笠の縁が特に白く、その裏のまくれ込んだ内側が暗灰色にくま取られている。
— 寺田寅彦 『小爆発二件』 青空文庫
暗灰色の入道雲が、もくもく私のぐるりを取り囲んでいて、私は、いままでの世間から遠く離れて、物の音さえ私には幽かにしか聞えない、うっとうしい、地の底の時々刻々が、そのときから、はじまったのでした。
— 太宰治 『皮膚と心』 青空文庫
形は小さいが、三十枚ばかりずつ幾山にも並べた、あの暗灰色の菱形の魚を三角形に積んで、下積になったのは軒下の石に藍を流して、上の方は浜の砂をざらざらとそのままだから、海の底のピラミッドを影で覗く鮮しさがある。
— 中島敦 『鏡花氏の文章』 青空文庫
横筋の地肌の暗灰色の幹に、真っ赤な蔦が一面に絡みついているのであった。
— 佐左木俊郎 『恐怖城』 青空文庫
形は小さいが、三十枚ばかりずつ幾山にも並べた、あの暗灰色の菱形の魚を、三角形に積んで、下積になったのは、軒下の石に藍を流して、上の方は、浜の砂をざらざらとそのままだから、海の底のピラミッドを影で覗く鮮さがある。
— 泉鏡花 『卵塔場の天女』 青空文庫
斑な禿山の上には、何に驚いたのか鴉の群が、折からの日差しの中に慌だしく舞い上り、そしてその岬の彼方の沖合には、深谷氏の片足をもぎ取った奴であろう、丈余に亙る暗灰色の大|鱶が、時々濡れた背中を鋭く光らしながら、凄じい飛沫を蹴立てて疾走していた。
— 大阪圭吉 『死の快走船』 青空文庫
胃の中は、なんだか暗灰色に見えた。
— 海野十三 『人体解剖を看るの記』 青空文庫
作例 · 標準
私は毎日暗灰色について考えている。
暗灰色という言葉は日本語で重要だ。
彼は暗灰色の意味を理解している。
この文には暗灰色が含まれている。