火鉢
ひばち
名詞
標準
brazier
文例 · 用例
やがて最初に目に入つた玉屋に這入ると、部屋は明るくガランとしてゐて、温室のやうだつた、客の腰掛場になつてゐる、畳二枚を縦に並べた場所の、その中程に置かれた火鉢には其処の主人が如何にも睡げによつかゝつてをり、お主婦さんも割烹着を着たまゝ火鉢で手をぬくめてゐた。
— 中原中也 『西部通信』 青空文庫
退屈だし寒いので、火でも起こさうと隣りの部屋を開けると、驚いたことにはそこはもうチヤンと机や本箱が配置されてをり、火鉢には火が起こつてゐて、薬鑵も掛かつてゐる。
— 中原中也 『引越し』 青空文庫
父の視線を抹殺する様に兄が火鉢の中を掻き混ぜ始めた。
— 中原中也 『耕二のこと』 青空文庫
」 耕二は帰つて来るとみんなの寄つてゐる火鉢の前にトンと坐つた。
— 中原中也 『耕二のこと』 青空文庫
玄関先に夫らしい足音がすると、先刻から火鉢に凭つて時計ばかりみてゐた妻君は、忙しげに立ち上つて玄関に行つた。
— ――飜弄さる 『蜻蛉』 青空文庫
」 案外に淡泊と返事をしたが、これが彼の平生のこんな場合の返事振ではない、額口に皺を寄せて火鉢の縁か何かをチヨンと指で弾いてそれから返事をするのが彼の平生のこんな場合の返事振なのである。
— ――飜弄さる 『蜻蛉』 青空文庫
夫が仰向いて長火鉢の上の柱時計をみながら飛び出した喉豆に掛けた声で「七時かあ」と云つた。
— ――飜弄さる 『蜻蛉』 青空文庫
火鉢に火を起こしてゐればほんとによい男である一人の男が、「近代」だの「不安」だのと云ふばかりに血迷つて見えるとあつては、而もそれが随分無理からぬ事と見えるのであつては、何だか空恐ろしくないでもない。
— 中原中也 『よもやまの話』 青空文庫
作例 · 標準
寒い冬の夜、祖母は火鉢を囲んで昔話をしてくれた。
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この古民家には、昔ながらの火鉢が置かれていて趣がある。
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火鉢の炭が赤々と燃え、部屋全体を暖めていた。
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