犠牲者
ぎせいしゃ
名詞
標準
victim (esp. someone killed)
文例 · 用例
このたったひとつの小説をめぐって、日本なんかでも一時ずいぶん悲惨な犠牲者が出たものだ。
— 太宰治 『ダス・ゲマイネ』 青空文庫
また一方、毒瓦斯の出ない工場にはまた色々別の危険が潜伏していて、そうして密かに犠牲者の油断のすきを狙って爪を研いでいるであろう。
— 寺田寅彦 『KからQまで』 青空文庫
ただ平時の不注意や不始末で莫大な金を煙にした上に沢山の犠牲者を出すようなことだけはしたくないものである。
— 寺田寅彦 『喫煙四十年』 青空文庫
人殺しをしたものが長い年月の後に熱病でもわずらった時に殺した時の犠牲者の顔をありあり見るというが、それはおそらく自分の見た幻覚と類した程度のものが見えるのではあるまいかと思った。
— 寺田寅彦 『自画像』 青空文庫
そういう時にいつでも結局いちばん得をするのは、こういう犠牲者の死屍にむちうつパリサイあたりの学者と僧侶たちかもしれない。
— 寺田寅彦 『自画像』 青空文庫
もちろん当局でもそのへんに遺漏のあるはずはないが、しかし一般世間ではどうかすると誤った責任観念からいろいろの災難事故の真因が抹殺され、そのおかげで表面上の責任者は出ない代わりに、同じ原因による事故の犠牲者が跡を絶たないということが珍しくないようで、これは困ったことだと思われる。
— 寺田寅彦 『災難雑考』 青空文庫
これでは犠牲者は全く浮かばれない。
— 寺田寅彦 『災難雑考』 青空文庫
万一にも大都市の水道貯水池の堤防でも決壊すれば市民がたちまち日々の飲用水に困るばかりでなく、氾濫する大量の流水の勢力は少なくも数村を微塵になぎ倒し、多数の犠牲者を出すであろう。
— 寺田寅彦 『天災と国防』 青空文庫