遠路
えんろ
名詞
標準
long way
文例 · 用例
けれどもM君は、遠路わざわざやつて來られて、私に書けと言ふのである。
— 太宰治 『小照』 青空文庫
自転車で岡持ちを運んで来る若者は遠路をぶつぶつ叱言いったが、小初の美貌と、父親が宛てがう心づけとで、この頃はころころになって、何か新らしく仕込んだ洒落の一つも披露しながら、片隅の焜炉で火を焙して、お椀の汁を適度に温め、すぐ箸が執れるよう膳を並べて帰って行く。
— 岡本かの子 『渾沌未分』 青空文庫
内に寝ていてさえ空腹うてならぬ処へなまなか遠路を歩行いたりゃ、腰は疼む、呼吸は切れる、腹は空る、精は尽きる、な、お前様、ほんにほんに九死一生で戻りやしたよ。
— 泉鏡花 『貧民倶楽部』 青空文庫
と見て、知りつつ松崎は、俄然として雲が湧いたか、とぎょっとした、――電車はあっても――本郷から遠路を掛けた当日。
— 泉鏡花 『陽炎座』 青空文庫
いかに息災でも既に五十九、あけて六十にならうといふのが、内でこそはくる/\※れ、近頃は遠路の要もなく、父親が本を見る、炬燵の端を拜借し、母親が看經するうしろから、如來樣を拜む身分、血の氣の少ないのか、とやかくと、心遣ひに胸を騷がせ、寒さに骨を冷したれば、忘れて居た持病がこゝで、生憎此時。
— 泉鏡花 『雪の翼』 青空文庫
僧都、すぐに出向うて、遠路であるが、途中、早速、硝子とその擬い珠を取棄てさして下さい。
— 泉鏡花 『海神別荘』 青空文庫
朝から内を出て、随分|遠路を掛けた男は、不思議に遥々と旅をして、広野の堂に、一人雨宿りをしたような気がして、里懐かしさ、人恋しさに堪えやらぬ。
— 泉鏡花 『第二菎蒻本』 青空文庫
居常唯だ書籍に埋もれ、味なき哲理に身を呑まれて、徒らに遠路に喘ぐものをして、忽焉、造化の秘蔵の巻に向ひ不可思議の妙理を豁破せしむるもの、夏の休息あればなり。
— 北村透谷 『客居偶録』 青空文庫
作例 · 標準
例句1
例句2
例句3
例句4