岐路
きろ
名詞頻度ランク #24843 · 青空 201 例
標準
forked road
文例 · 用例
――それは私に変な癖があるのだが、一度私が矢張広島の頃、父が東京に出張するといつて出る時、私はそれまでは何でもなかつたが、父の俥がいよいよ玄関を出る時急に人生の大切な岐路にでも立たせられたやうな気がして来て、泣く泣く父の俥の後を二三町ばかり泣きながら夢中に追つ駆けたことがあつた。
— 中原中也 『その頃の生活』 青空文庫
このような疑問の岐路に立ってある人は何の躊躇もなく一つの道をとる。
— 寺田寅彦 『厄年と etc.』 青空文庫
麦稈帽を鷲掴みに持添へて、膝までの靴足袋に、革紐を堅くかゞつて、赤靴で、少々抜衣紋に背筋を膨らまして――別れとなればお互に、峠の岐路に悄乎と立つたのには――汽車から溢れて、風に吹かれて来た、木の葉のやうな旅人も、おのづから哀れを催し、挨拶を申すうちに、つい其誘はれて。
— 泉鏡太郎 『十和田湖』 青空文庫
しかし私は今ここでそういう岐路に立ち入るべきではない。
— 寺田寅彦 『ルクレチウスと科学』 青空文庫
紛糾した可能性の岐路に立ったときに、取るべき道を誤らないためには前途を見透す内察と直観の力を持たなければならない。
— 寺田寅彦 『科学者とあたま』 青空文庫
拳闘場の鉄梯子道の岐路でこの二人が出会っての対話の場面と、最後に監獄の鉄檻の中で死刑直前に同じ二人が話をする場面との照応にはちょっとしたおもしろみがある。
— 寺田寅彦 『映画雑感(4)』 青空文庫
」「さうですな、山道で岐路が多いから矢張り案内が入るでしやう、宅の倅を連れて行つしやい。
— 國木田独歩 『空知川の岸辺』 青空文庫
案内記が詳密で正確であればあるほど、これに対する信頼の念が厚ければ厚いほど、われわれは安心して岐路に迷う事なしに最少限の時間と労力を費やして安全に目的地に到着することができる。
— 寺田寅彦 『案内者』 青空文庫