綿毛
わたげ異読 めんもう
名詞
標準
down
文例 · 用例
細い硬い毛が拔けてきら/\と光りながら小寒い空氣の中を風も無いのにたんぽゝの綿毛のやうに飛んで行く。
— 有島武郎 『春』 青空文庫
さうしてゴツホの燬きつくやうな太陽が東にあがり西に赤々とくるめき廻る真ん中で、この大麻栗の緑葉の渦巻に、真つ白な花穂がいくつもいくつも垂れ下つて、まるで妊娠になつた綿羊の綿毛のやうに重々しく咲き盛つた。
— 愛の詩集のはじめに 『愛の詩集』 青空文庫
服の生地は絹モスリンで、首と袖口に綿毛のレース、光の洪水を浴びて、立ち姿がぼうっと浮かび上がり、片手を扉にかけて、もう一方の手は待ちかねたとばかりに、つと前に出している。
— THE MAN WITH THE TWISTED LIP 『唇のねじれた男』 青空文庫
見ると、火が輝やかに燃え上がっていて金網のなかには、何か紙の焼けたらしい黒い綿毛のような灰が残り、そのそばに例の真鍮製の箱が開かれており、中は空でした。
— THE FIVE ORANGE PIPS 『橙の種五粒』 青空文庫
その全面長く金色な綿毛を被った形、とんとシジアの羔に異ならぬ。
— 羊に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
で、その暇に彼は鞄を開けて、下著を取り出し、ためつすがめつ、それが十分に洗濯が出来てをるか、きちんと畳まれてをるかと、検査をしたり、もはや肩章掛のない、新調の軍服についてゐる綿毛を、叮嚀に払ひ落したりして、再びその品々を極めて大切さうに片づけた。
— VECHERA NA HUTORE BLIZ DIKANIKI 『ディカーニカ近郷夜話 後篇』 青空文庫
石榴の木の真上、藍碧に澄みきつた空を綿毛のやうに白いふはふはした雲の一かたまりが滑つてゐる。
— 薄田泣菫 『独楽園』 青空文庫
鳥の綿毛をでも※るやうに、丹念に剃られた。
— 徳田秋声 『町の踊り場』 青空文庫