版木
はんぎ
名詞
標準
woodblock
文例 · 用例
拓本職人は石刷りを法帖に仕立てる表具師のようなこともやれば、石刷りを版木に模刻して印刷をする彫版師のような仕事もした。
— 岡本かの子 『食魔』 青空文庫
なまじそれがあつた為に毛をさか※ぎにされるやうなくるしい目にあつたと思へば、感興に殉じた小伎倆立てが、自分ながらいまいましく、この冊子を見る度にをこな自分を版木に刷り、恥ぢづら掻いて居るやうで、踏まば踏め、蹴らば蹴れ、と手から抛つて置くとこまかせ、そこら畳の上に捨てても置いた。
— 岡本かの子 『上田秋成の晩年』 青空文庫
その戸棚を開けると、緑礬、硝石、甘草、肉桂、薄荷、どくだみの葉、中には売薬の版木等がしんみりと交錯がつた一種異様の臭を放つ。
— 北原白秋 『水郷柳河』 青空文庫
その戸棚を開けると緑礬、硝石、甘草、肉桂、薄荷、どくだめの葉、中には賣藥の版木等がしんみりと交錯がつた一種異樣の臭を放つ。
— 北原白秋 『思ひ出 抒情小曲集』 青空文庫
緑青いろの古ぼけた硝子戸棚を、そのなかの賣藥の版木と、硝石の臭と、…………しとしとと雨のふる夕かた、濡れて歸る紺と赤との燕を、しとしとと雨のふる夕かた、蛇目傘を斜に疊んで、正宗を買ひに來た年増の眼つき、…………びいどろの罎を取つて無言つて量る…………禿頭の番頭。
— 北原白秋 『思ひ出 抒情小曲集』 青空文庫
」と、また先刻からの版木で捺したやうな聲が聞えるとともに、正面の壁が三尺四方ばかり、眞四角にバタリと開いて、大きな怪物の口かなんぞのやうに、其處だけが殊に黒く見えた。
— 上司小劍 『石川五右衞門の生立』 青空文庫
出版物の草稿が出来ると、その版下を書くにも、版木版摺の職人を雇うにも、亦その製本の紙を買入るゝにも、都て書林の引受けで、その高いも安いも云うがまゝにして、大本の著訳者は当合扶持を授けられると云うのが年来の習慣である。
— 福翁自伝 『福翁自伝』 青空文庫
私は毎日版木へ墨を塗ってお札を摺る。
— 大切な雰囲気 『大切な雰囲気』 青空文庫