話下手
はなしべた
名詞形容動詞
標準
being bad at conversation
文例 · 用例
省作はもとから話下手ときてるから、半日並んで仕事をしていてもろくに口もきかないという調子で、今日の稲刈りはたいへんにぎやかであろうと思った反対にすこぶる振るわないのだ。
— 伊藤左千夫 『隣の嫁』 青空文庫
おまえさんら二人の相談がこうときまれば、うちでも父へなんとか話のしようがあるというんですから、ねい省さん」 省作も話下手な口でこういった。
— 伊藤左千夫 『春の潮』 青空文庫
勿論彼の極めて内気な性質を知り抜いてゐる私がそんな乱暴な話を持出したわけではなかつたのであるが、彼はまともに相手の顔を見て物を言ふことすら出来ない位ひの話下手で、たゞ/\爽かな友達思ひの情に富んでゐる。
— 牧野信一 『三田に来て』 青空文庫
もつとも話手が上手ならばきゝ手をひとりでに噺の中に引き入れてしまふのだがね――二人も知つてる通りこの人は(とこゝで私は仰山らしく自分で自分を指しながら)大の話下手なんだからさ、始まる前に道具立が入用なんだよ。
— 牧野信一 『嘆きの孔雀』 青空文庫
ところがお酒を飲まない平素は、たいへん話下手で、それに吃りました。
— 童話集 『小熊秀雄全集-14』 青空文庫
――さあ皆さん私は今、世にも稀なる不可思議な物語を始めるのです、といつたやうに、未だそれが果して不思議な物語であるかどうか解りもしないうちから、そんなことを云はなければ居られないとは――まあ何といふ私は話下手なんでせう。
— 牧野信一 『青白き公園』 青空文庫
生来私は会話下手で、誰と話すにも第一に相手ばかりを遠慮して思ふことも易々とは云へない質で憂鬱を覚へるが、これに慣れたら、中空の一方を見詰めて悠々と独白すれば済むわけだから、憚りなしに己れの所存を伝へられ、且つ愉快に違ひなからう――私は堂々と脚をふまへ、ガウンの裾をぴんと肩にはねあげた。
— 牧野信一 『歌へる日まで』 青空文庫
話をする時は冷ややかで、口数も少なく、話下手だった。
— THE STRANGE CASE OF DR. JEKYLL AND MR. HYDE 『ジーキル博士とハイド氏の怪事件』 青空文庫