倒影
とうえい
名詞
標準
reflection
文例 · 用例
劣者の道の谷底の漸近線までの部分は優者の道の倒影に似ている。
— 寺田寅彦 『厄年と etc.』 青空文庫
どうかして電車がしばらく来ない時には、河岸の砂利置場へはいってお堀の水をながめたり呉服橋を通る電車の倒影を見送ったりする。
— 寺田寅彦 『丸善と三越』 青空文庫
空は、一面にどんよりとした層雲で包まれているのに、街の裾から、カッと落日の光がさし込んで、暗い通りに、建物の倒影が、クッキリ落ち、行きずりの人の顔など、眩しいほど、鮮に見える。
— 菊池寛 『貞操問答』 青空文庫
そこでこの考えにしたがって、この家のそばに静かな光をたたえている黒い無気味な沼のけわしい崖縁に馬を近づけ、灰色の菅草や、うす気味のわるい樹の幹や、うつろな眼のような窓などの、水面にうつっている倒影を見下ろした、――が、やはり前よりももっとぞっとして身ぶるいするばかりであった。
— THE FALL OF HOUSE OF USHER 『アッシャー家の崩壊』 青空文庫
南湖一泓の明鏡を開き、四面の山や樹や倒影を※す。
— 大町桂月 『白河の七日』 青空文庫
・水はたたへて山山の倒影がまさに秋・朝早く汲みあげる水の落葉といもりと・まんまるい月がふるさとのやうな山から(旅中)・のぼる月の、竹の葉のかすかにゆらぐ 十月十三日――十一月二日ぼうぼうたり、ばくばくたり。
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫
尤も映画固有な現物的なリアリズムから云って、色彩の或る程度以上の誇張はインチキ性を孕んで来るが、併し写真機の暗箱の底に写る倒影に見られる程度の光彩の集中は、慥かに良いものだ。
— 戸坂潤 『『唯研ニュース』』 青空文庫
遠くはるばると霞んだ空を負って、散る桜もあり、今開いてゆく桜もあるのが見渡される奥には、晴れやかに起き伏しする河添い柳も続いて、宇治の流れはそれを倒影にしていた。
— 椎が本 『源氏物語』 青空文庫
作例 · 標準
湖面に映る富士の倒影は、息をのむほど美しかった。
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窓ガラスに映る街の灯りの倒影が、雨上がりの夜を彩る。
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彼女は静かに水面に目をやり、そこに映る自分の倒影を見つめた。
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