出し手
だして
名詞
標準
one who furnishes the money
文例 · 用例
」 その工夫の人は立ちあがって窓から顔を出し手をかざして行手の線路をじっと見てゐましたが、俄かに下の方へ「よう、」と叫んで、挙手の礼をしました。
— 宮沢賢治 『化物丁場』 青空文庫
では、なんじゃな、そちがわしに力を借りたいというは、弥吉のまくらもとにあったとかいう三千両の盗み出し手をよく調べたうえで、万が一ぬれぎぬだったならば、罪人の汚名を着せて追いだした弥吉にそれ相当のわびをしたいというのじゃな」「へえい。
— 京人形大尽 『右門捕物帖』 青空文庫
彼はふーと大きく息を吐き出し手で首筋の汗をふいていたが、急に気でもふれたようにけらけらと笑った。
— 金史良 『天馬』 青空文庫
それは、衝立の蔭で、夷岐戸島唯一の生残者と目され、先には不可解な縊死を見せた宅悦の小六が、今度こそは、白眼を剥き出し手足を縮めて、それはあえなくも息が絶えていたからであった。
— 小栗虫太郎 『人魚謎お岩殺し』 青空文庫
其最初の聞き出し手であり、今尚、語ること益幽に這入つて来たのは、早川孝太郎さんであります。
— ――花祭り解説―― 『山の霜月舞』 青空文庫
最後の幕が下りると、それらの娘たちはめいめいの包みから、ふだん着とモンペを取り出し手早くそれと着替へて、降りそそぐ月光を浴びながら、今まで舞台だつた教壇を、もと来た道へしづかに運び去つた。
— 岸田國士 『荒天吉日』 青空文庫
壁と押入から湿気の臭が湧出し手箱の底に秘蔵した昔の恋人の手紙をば虫が蝕ふ。
— 永井荷風 『花より雨に』 青空文庫
が、それの出し手が宗吉であるだけに、私は甚だくすぐつたい思ひと共に、一種の感慨に打たれない訳に行かなかつた。
— 宇野浩二 『質屋の小僧』 青空文庫