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蔓草

つるくさ
名詞
1
標準
vine
文例 · 用例
松やもっこくやの庭木を愛するのがファシストならば、蔦や藤やまた朝貌、烏瓜のような蔓草を愛するのがリベラリストかもしれない。
寺田寅彦 KからQまで 青空文庫
馬の上にて山々の遙に連なりつ断えつするを望み、海の音のとゞろき渡るを聞きながら、旅のおもひを歌なんどに案ずる折から、ゆかしき香を手綱かいくるついでに聞きつけて、ふと見る眼の下に、この花のあやしき蔓草まじり二つ三つ咲きたるを認めたる、おもしろさ何とも云ひがたし。
幸田露伴 花のいろ/\ 青空文庫
ところが又、そのうちに一年も経ってその煙突に火の気が通らない証拠に、何とかいう葉の大きい蔓草が、根元の方からグングン這い登り始めた。
夢野久作 けむりを吐かぬ煙突 青空文庫
その蔓草は麹町区内のC国公使館の壁を包んでいるのと同じ外国種の見事なものであったが、生長が馬鹿に早いらしく、二夏ばかり過すうちに絶頂の避雷針の処まで捲き上げてしまって、房々と垂れ下る位になった。
夢野久作 けむりを吐かぬ煙突 青空文庫
それにつれて煙突を登り詰めた蔓草が今度は横に手を伸ばしはじめて、二年も経つうちには殆んど図書館の半分以上を包んでしまった。
夢野久作 けむりを吐かぬ煙突 青空文庫
少時目が眩んで、氣が遠く成つて居たが、チリ/\と琴が自然に響くやうな、珠と黄金の擦れ合ふ音に、氣つけを注射れた心地がして、幽に隅の方で目を開けて、……車上の美人がお引摺りの蹴出褄、朱鷺色の扱帶と云ふので、件の黒髯の大きな膝に、かよわく、なよ/\と引つけられて、白い花咲く蔓草のやうに居るのを見た。
泉鏡太郎 麥搗 青空文庫
あとは名も知らぬ蔓草や、ヒョロ長い雑草が元気よく茂り合っているばかりであった。
夢野久作 童貞 青空文庫
この次男は、兄妹中で最も冷静な現実主義者で、したがって、かなり辛辣な毒舌家でもあるのだが、どういうものか、母に対してだけは、蔓草のように従順である。
太宰治 ろまん燈籠 青空文庫
作例 · 標準
古い石垣には、力強い蔓草が絡みつき、独特の風情を醸し出していた。
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