琴曲
きんきょく
名詞
標準
koto music
文例 · 用例
」 と、琴曲の看板を見て、例のごとく、帽子も被らず、洋傘を支いて、据腰に与五郎老人、うかうかと通りかかる。
— 泉鏡花 『白金之絵図』 青空文庫
梅の樹に梅の花咲くことわりをまことに知るはたはやすからず(岡本かの子詠) 十何年後琴曲界の一方の大家として名を成した北田三木雄の妻智子は昔から盲人が琴曲界に名を成したりするのをあまり単純な道のように考えていた自分を振り返って恥じる日があった。
— 岡本かの子 『明暗』 青空文庫
究竟するに紅葉は実を写す特有の天才より移つて、佐太夫なる、或意味に於ての理想的伝記を画き出たるを以て、平常の細微巧麗なる紅葉の作を読み慣れたる眼には、何となく琴曲を欲ふ時に薩摩琵琶を聞くが如きの感あるなれ。
— 北村透谷 『「伽羅枕」及び「新葉末集」』 青空文庫
あとはひとしきり有名な琴曲家の噂話になった。
— 伊藤左千夫 『去年』 青空文庫
入口に琴曲指南|山勢門人何とかの何枝と優しい書風で書いた札が掛けてあった。
— 二葉亭四迷 『平凡』 青空文庫
その間に兵右衛門さまは御病死、後は金三郎様が矢張謡曲と手習の師匠、阿母様の鶴江様が琴曲の師匠。
— 江見水蔭 『備前天一坊』 青空文庫
琴曲教授の看板について石敷の小路を入り、立てつけの悪い門をあけ格子をガタガタやっていると、真暗な玄関へサッと茶の間からの灯がさした。
— 宮本百合子 『舗道』 青空文庫
彼は琴曲のことには不案内だったが、歌物ではないらしく、ただ手の技を主とする緩急高低の音色の連続だ。
— 豊島与志雄 『女心の強ければ』 青空文庫