貞女
ていじょ
名詞
標準
virtuous woman
文例 · 用例
贄卓の上の色硝子の窓から差し入る夕日が、昔の画家が童貞女の御告の画にかくやうに、幅広く素直に中堂に落ちて、階段に敷いてある、色の褪めた絨緞を彩つてゐる。
— DIE FLUCHT 『駆落』 青空文庫
今度こそは真から腹を立てて、貞女らしい口をきくだろう、そう渡瀬が思っていると、おぬいさんは忙がしく袂を探ろうとしたが、それも間に合わなかったか、いきなり両手を眼のところにもっていって、じっと押えた。
— 有島武郎 『星座』 青空文庫
お岩は貞女で、再び世帯を持つときの用意として年々の給料を貯蓄しているばかりか、その奉公している屋敷内の稲荷の社に日参して、一日も早く夫婦が一つに寄合うことが出来るようにと祈願していた。
— 岡本綺堂 『四谷怪談異説』 青空文庫
それに貴女は、島山さんに不快を感じさせながら、まだやっぱり、夫には貞女で、子には慈悲ある母親で、親には孝女で、社会の淑女で、世の亀鑑ともなるべき徳を備えた貴婦人顔をしようとするから、痩せもし、苦労もするんです。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
浮気をする、貞女、孝女、慈母、淑女、そんな者があるものか。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
たまたま人間に生を受けて、しかも別嬪に生れたものを、一生にたった一度、生命とはつりがえの、色も恋も知らせねえで、盲鳥を占めるように野郎の懐へ捻込んで、いや、貞女になれ、賢母になれ、良妻になれ、と云ったって、手品の種を通わせやしめえし、そう、うまく行くものか。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
見たが可い、こう、己が腕がちょいと触ると、学校や、道学者が、新粉細工で拵えた、貞女も賢母も良妻も、ばたばたと将棊倒しだ。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
もともと人間がそういうことを拵えたのなら、誰だって同一人間だもの、何|密夫をしても可い、駈落をしても可いと、言出した処で、それが通って、世間がみんなそうなれば、かえって貞女だの、節婦だの、というものが、爪はじきをされようも知れないわ。
— 泉鏡花 『化銀杏』 青空文庫
作例 · 標準
昔話に登場する貞女は、しばしば夫のために尽くす姿で描かれる。
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貞女は、その品行方正さから、地域社会の模範とされていた。
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「現代社会で『貞女』という言葉は、少し古風に聞こえるね。」と、彼女は友人に話した。
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