私生子
しせいし
名詞
標準
illegitimate child
文例 · 用例
それと同じように、現在の思想家や学者の所説に刺戟された一つの運動が起こったとしても、そしてその運動を起こす人がみずから第四階級に属すると主張したところが、その人は実際において、第四階級と現在の支配階級との私生子にすぎないだろう。
— 有島武郎 『宣言一つ』 青空文庫
一二月二六日、小熊マツ私生子として入籍。
— 短歌集 『小熊秀雄全集-1』 青空文庫
一九二一(大正十)年 徴兵検査をきっかけに小熊マツの私生子であることを知り、以後、三木姓を捨てて小熊姓を名乗るようになる。
— 短歌集 『小熊秀雄全集-1』 青空文庫
それは葉子が私生子を設けてからしばらく後の事だった。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
男のかたにはこの心持ちはおわかりにはならないかもしれないけれども」 こういってるうちに葉子は、ふと木部との恋がはかなく破れた時の、われにもなく身にしみ渡るさびしみや、死ぬまで日陰者であらねばならぬ私生子の定子の事や、計らずもきょうまのあたり見た木部の、心からやつれた面影などを思い起こした。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
まして私生子というような区別を戸籍の上にさえおかない様になってきている今日、子供はすべて社会の子供として生命を保証される権利があります。
— ――寿産院事件について―― 『“生れた権利”をうばうな』 青空文庫
」「どうにか育てられるものなら、そのために、よし自分は屈辱を受けようとも、生れいずるものは生れさせなければいけない」そして、允子は私生子として第一の出産を行うのである。
— 宮本百合子 『山本有三氏の境地』 青空文庫
自分が正しいと信じた上は、屈辱に堪えて私生子を生もうとした允子の心は、子に対した場合は実に俗人的になって、「真理を愛し真実な生活をいとなむような人間にしたい」ことと、子供に「社会の中枢に立って立派に働いてもらいたい」心持とを、いつの間にやらごったにしている。
— 宮本百合子 『山本有三氏の境地』 青空文庫