函嶺
かんれい
名詞
標準
the Hakone Mountains
文例 · 用例
電車が景氣よく走り出す、函嶺諸峰は奧ゆかしく、嚴かに、面を壓して近いて來る!
— 国木田独歩 『湯ヶ原より』 青空文庫
喜多八、さあ、其の氣で歩ばつしと、今こそ着流で駒下駄なれ、以前は、つかさやをかけたお太刀一本一寸極め、振分の荷物、割合羽、函嶺の夜路をした、内神田の叔父的、名を彌次郎兵衞といふ小田原通、アイお茶代を置いたよ、とヅイと出るのに、旅は早立とあつて午前六時に搖起された眠い目でついて行く。
— 泉鏡太郎 『城の石垣』 青空文庫
後に小田原の町を放れ、函嶺の湯本近に一軒、茶店の娘、窶れ姿のいと美しきが、路傍の筧、前なる山凡そ三四百間遠き處に千歳久しき靈水を引いたりといふ、清らかなる樋の口に冷たき其の土を洗ふを見て、山の芋は鰻になる、此の牛蒡恁くて石清水に身を灌がば、あはれ白魚に化しやせんと、そゞろ胸に手を置きしが。
— 泉鏡太郎 『城の石垣』 青空文庫
小田原よりか、函嶺からか、それとも三島、日金の方か、たとい家は崖の上でも、十里は見通し得る筈がない。
— 泉鏡花 『わか紫』 青空文庫
その色の白いばかりも、この辺に類はないから、人々は総六が自讃する、怪しき鳥の挙動にはさもなくて、湯河原の雲を攀じ、吉浜の朝霽や、真鶴の霜毛に駕して、名だたる函嶺の裏関越え、小田原の神に使した、美しき使者をこそ、皆口々に讃め称えつれ。
— 泉鏡花 『わか紫』 青空文庫
中に一条、つるくさ交りの茅萱高く、生命を搦むと芭蕉の句の桟橋というものめきて、奈落へ落るかと谷底へ、すぐに前面の峠の松へ、蔦蔓で釣ったように攀ずる故道の、細々と通じているのが、函嶺の裏関所の旧跡である。
— 泉鏡花 『わか紫』 青空文庫
「三島へ遁げるのもありますし、峠を越して函嶺へ行ったのもございますし、湯河原を出て吉浜、もうその時分は、お関所|辺で、ゆっくり紙幣を勘定しているものもあろうし、峠の棄石へ腰をかけて、盗んだ時計で、時間を見ているのもあるだろうッて、浪の音の合間々々に、皆が話していたんです。
— 泉鏡花 『わか紫』 青空文庫
それより函嶺に赴く途中、電鐵の線路に踏み迷ひ危い橋を渡ることなどあり、午後四時半塔の澤着。
— 泉鏡太郎 『熱海の春』 青空文庫
作例 · 標準
「わあ、絶景! 函嶺を越えると、いよいよ相模の国に入ったって実感が湧くわね」
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箱根駅伝の往路ゴール地点、函嶺の険しい山道を駆け抜ける選手たちの姿に観客が沸いた。
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かつて東海道の難所として恐れられた函嶺も、今では多くの観光客で賑わう行楽地だ。
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