近代社会
きんだいしゃかい
名詞
標準
modern society
文例 · 用例
左翼の歴史が何故そのように急な興隆と急な退潮とを余儀なくされているかということについて、詳細にここで触れる必要のないことであろうと思うが、これ等の重大な歴史の相貌は悉く、日本がヨーロッパよりおくれて、而も独自な事情のもとに近代社会として発展して来たという特別な条件に原因をおいている。
— 宮本百合子 『今日の文学の展望』 青空文庫
明治以来の文学が西欧文学のみをとりいれて古典の伝統をかえり見なかったことへの反省、と云われるのであるけれども、ここには今日一部の人々に云われるように単純な西洋かぶれと観てしまうことの不可能な日本近代社会生活の飛躍の必然が存在していた。
— 宮本百合子 『今日の文学の展望』 青空文庫
新興文化の先駆としての福沢諭吉の啓蒙的文筆活動、翻訳小説と、魯文の文学とは、近代社会建設に向う意欲とその思想とに於て、役割に於て、本質を異にしたものであった。
— 宮本百合子 『今日の文学の展望』 青空文庫
日本近代文学の発展の中心を二葉亭以来の純文学において眺めわたすとき、そこには日本の社会が近代社会として国際的に一位を占めるために努力して来た量と等しい精神の量において、近代社会の市民としての人間性の自主、我の自覚への努力がされて来ている。
— 宮本百合子 『今日の文学の展望』 青空文庫
日露戦争からヨーロッパ大戦までの間に、近代社会としての日本の社会機構が急速な膨脹をとげたように、その発展の雰囲気は、文学にも及ぼして、有産知識人の文学的活動は華々しく行われたのであった。
— 宮本百合子 『今日の文学と文学賞』 青空文庫
日本の近代社会の成り立ち、官製文明国としての特質が、日本的な現実性においてそうあらしめないであろう。
— 宮本百合子 『文学における今日の日本的なるもの』 青空文庫
日本の左翼運動の歴史が実に若いこと、その消長の過程が日本独特な近代社会の成立の性質を反映していること等は、当然プロレタリア文学にも甚しく影響している。
— 宮本百合子 『プロ文学の中間報告』 青空文庫
日本近代社会がその推移の過程で引き裂いた文化面のこの無惨な亀裂を今日性急に主観的にとび越え、埋めようとするところから、或る意味では従来の反動として、市民的日常性への無条件降服のきざしが作家の間に生じている。
— 宮本百合子 『文学の大衆化論について』 青空文庫