物憂い
ものうい
形容詞
標準
languid
文例 · 用例
しかし、私は、カチカチ山の次に、いよいよこの、「私の桃太郎」に取りかからうとして、突然、ひどく物憂い氣持に襲はれたのである。
— 太宰治 『お伽草紙』 青空文庫
ストーヴに暖められ、ピアノトリオに浮き立って、グラスが鳴り、流眄が光り、笑顔が湧き立っているレストランの天井には、物憂い冬の蠅が幾匹も舞っていた。
— 梶井基次郎 『冬の日』 青空文庫
下鴨一 出町柳の停留所で市電を降りて物憂い、何かけだるそうな足取りで葵橋の上まで来ると、「ああ、いい風……」 と、小郷宮子は頬を撫でる川風に、うっとりと眼を細めた。
— 織田作之助 『それでも私は行く』 青空文庫
室町のお能に出る東京の能役者たちが泊っているのであろう、階下の間から、物憂い鼓の声がいかにも晩春の白昼の感じで聴えていたが、もう宮子の耳にはいらなかった。
— 織田作之助 『それでも私は行く』 青空文庫
しかし、私は、カチカチ山の次に、いよいよこの、「私の桃太郎」に取りかからうとして、突然、ひどく物憂い気持に襲はれたのである。
— 太宰治 『お伽草紙』 青空文庫
それにも増して桂子のと胸を衝いたのは、小娘の物憂い表情の中に、覚悟と誇らしげなものを潜めてゐたことだ。
— 岡本かの子 『花は勁し』 青空文庫
このやうに蟹田町は、田あり畑あり、海の幸、山の幸にも恵まれて、それこそ鼓腹撃壌の別天地のやうに読者には思はれるだらうが、しかし、この観瀾山から見下した蟹田の町の気配は、何か物憂い。
— 太宰治 『津軽』 青空文庫
見るも物憂い醜い屍は、煩雜な手續きを經て後に適法に處理される。
— 幸田露伴 『華嚴瀧』 青空文庫
作例 · 標準
雨がしとしとと降る午後は、なんとなく物憂い気分で本を読んでいる。
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彼女は物憂い溜息をつきながら、窓の外の景色をぼんやりと眺めていた。
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夏休みの終わりが近づくと、子供心に物憂い気持ちになったものだ。
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