眠り猫
ねむりねこ
名詞
標準
文例 · 用例
「この頃はお友達の詩人の藤村女史に来て貰って、バロック時代の服飾の研究を始めた」とか「日本のバロック時代の天才彫刻家左|甚五郎作の眠り猫を見に日光へ藤村女史と行きました。
— 岡本かの子 『金魚撩乱』 青空文庫
おりからひとり茶室にこもって心しずかに湯の音を聞いていた越前守、ぬっと障子に映る人影に驚いて立っていくと、「わっはっは、当屋敷の者はすべて眠り猫同然じゃな。
— 乾雲坤竜の巻 『丹下左膳』 青空文庫
天皇は大仏や寺をつくり坊主は橋をかけ池をほり武士は戦争し大工は眠り猫をきざむなぞといろいろの例はあったが、この部落にはもともと人の名も人の歴史もないのである。
— 坂口安吾 『保久呂天皇』 青空文庫
「甚五郎以後」は左甚五郎の日光の眠り猫に対して、明治末年から大正のそのころ凡そ全国的に喧伝された漱石の「我輩は猫である」の声名を諷つたもの(第七句)。
— 正岡容 『大正東京錦絵』 青空文庫
――内匠頭様のおん亡骸を泉岳寺へ御葬送申しあげた当夜、御遺骸の前で髻を切って復讐を誓ったうちの一人でしたが』『うむ……』 と、内蔵助は、障子側のほうの耳が冷たく痛むのであろう、炬燵ぶとんの上へ、横顔を伏せ、眠り猫のように、眼をほそめている。
— 吉川英治 『新編忠臣蔵』 青空文庫