漲らす
みなぎらす
動詞
標準
文例 · 用例
天竜、雲を遣り、雷を放ち、雨を漲らすは、明午を過ぎて申の上刻に分豪も相違ない。
— 泉鏡花 『伯爵の釵』 青空文庫
また、余所は知らず、目の前のざっと劇場ほどなその空屋の裡には、本所の空一面に漲らす黒雲は、畳込んで余りあるがごとくに見えた。
— 泉鏡花 『陽炎座』 青空文庫
かの女の本真は芸術の坪をはみ出して生活に情熱を漲らす女である。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
天竜、雲を遣り、雷を放ち、雨を漲らすは、明午を過ぎて申の上刻に分毫も相違ない。
— 泉鏡花 『伯爵の釵』 青空文庫
「ジャムばかりじゃないんです、ほかに買わなけりゃ、ならない物もあります」と妻君は大に不平な気色を両頬に漲らす。
— 夏目漱石 『吾輩は猫である』 青空文庫
その声には黄なのも、青いのも、赤いのも、黒いのもあるが互に畳なりかかって一種名状すべからざる音響を浴場内に漲らす。
— 夏目漱石 『吾輩は猫である』 青空文庫
……五六月の候、いとも勇敢に、路傍に南方の山中に、或時は高さ三碼にも達する巨大な総づきの毬を形つくり、純金の壮麗な箒でもつて蔽はれ、その香芬は、灼熱した太陽の威烈のもとに謂ひ知れぬ歓喜を漲らすのである。
— 牧野信一 『卓上演説』 青空文庫
あの畠から取つて來た熟して半ば赤くなつた瓜は、何んなにうまい漿をかれ等の口に漲らすだらう。
— 田山花袋 『道綱の母』 青空文庫