庭向き
にわむき
名詞
標準
文例 · 用例
あてがはれた庭向きの客座敷の隣の八畳へ調度を収めて、女らしい部屋にしてかの女は落着いた。
— 岡本かの子 『過去世』 青空文庫
この際、忙中寸暇を割いて、座つて落ち付いて見る、場所はあまり物を置かない庭向きの座敷がいい、新茶の一椀を啜つて見るのもいい、これは決して贅沢でも閑人でもない。
— 岡本かの子 『初夏に座す』 青空文庫
」 しかし均平が窓から見たところでは、そんな様子もなく、館から帰って来ると、庭向きの部屋でビイルをぬき、子供をあやしたり、ダンス・レコオドをかけたりして、陽気なその日その日を暮らしていた。
— 徳田秋声 『縮図』 青空文庫
そして立ち木の影の多い庭向きの窓際に机を据えた。
— 徳田秋声 『黴』 青空文庫
庭向きの下の座敷へ移ったころには、笹村も大分下宿に昵んで来た。
— 徳田秋声 『黴』 青空文庫
家から運んで来て庭向きの窓の枠に載せておいた草花も、しばらく忘れられて水に渇いて萎れていた。
— 徳田秋声 『黴』 青空文庫
お絹は手炙りに煙草火をいけて、白檀を燻べながら、奥の室の庭向きのところへ座蒲団を直して、「ここへ来ておあがんなさい」と言うので、道太は長火鉢の傍を離れて、そこへ行って坐った。
— 徳田秋声 『挿話』 青空文庫
通された部屋は庭向きの六疊間で、狹い床の間には如意と書いた古い軸がさがつてゐた。
— 林芙美子 『風媒』 青空文庫