渣滓
さし
名詞
標準
文例 · 用例
――話をするうちにも、うすっぺらな移民案内一冊を後生大事にふところにいだいての闇の津軽海峡を渡った五年前の興奮が、今は苦い渣滓となって心の隅にこびりついているのを感ぜずにはいられなかった。
— 島木健作 『鰊漁場』 青空文庫
伸子は、だんだん自分の心に切ない渣滓が溜って来るのを感じた。
— 宮本百合子 『伸子』 青空文庫
渣滓の滲み込んでいるじくじくした樽の破片にかじりついて、酒で朽ちたじめじめした木片をさもうまそうに舐めたり、噛みさえしたりする者もいた。
— 上巻 『二都物語』 青空文庫
そういうのに口を汚している一人の脊の高い剽軽者が、その男の頭は寝帽にしている長いきたない袋の中に入っていると言うよりも、それからはみ出ていると言った方がよかったが、泥まみれの酒の渣滓に浸した指で、壁に、血――となぐり書きした。
— 上巻 『二都物語』 青空文庫
あはれ、本覺大悟の智慧の火よ、我が胸に尚ほ蛇の如く※はれる一切煩惱を渣滓も殘らず燒き盡せよかし。
— 高山樗牛 『瀧口入道』 青空文庫