錦帳
きんちょう
名詞
標準
文例 · 用例
家計の困難を悲むようなら、なぜ富貴の家には生れ来ぬぞ……その時先生が送られた手紙の文句はなお記憶にある……其の胆の小なる芥子の如く其の心の弱きこと芋殻の如し、さほどに貧乏が苦しくば、安ぞ其始め彫※錦帳の中に生れ来らざりし。
— 泉鏡花 『おばけずきのいわれ少々と処女作』 青空文庫
蓑の白い袖が時として、垂れて錦帳をこぼれなどする。
— 泉鏡花 『河伯令嬢』 青空文庫
相手が熱心なので、『伊勢物語』風の歌ででもあるのかと、心をときめかせながらあけて見ると、案外にも青き薄様に「蘭省花時錦帳下」[蘭省の花時、錦帳の下]という白楽天の句を書いて、「末はいかに」とある。
— 和辻哲郎 『日本精神史研究』 青空文庫
一例だけ挙げて置けば、蘭省に花の匂ふ時錦の帳をぞ思ひやる香炉峯の夜の雨に草の菴は静かにては有名な白楽天の蘭省花時錦帳下 盧山雨夜草菴中である。
— 風巻景次郎 『中世の文学伝統』 青空文庫