炉傍
ろぼう
名詞
標準
文例 · 用例
嫁はまだ起きていて、炉傍で縫い物をしていました。
— 太宰治 『嘘』 青空文庫
」などと、まことに下手なほめ方をして外套を脱ぎ、もともと、もう礼儀も何も不要な身内の家なのですから、のこのこ上り込んで炉傍に大あぐらをかき、「ばばちゃは、寝たか。
— 太宰治 『嘘』 青空文庫
山路から、後を跟けて来たらしい嵐が、袂をひら/\と煽つて、颯と炉傍へ吹込むと、燈が下伏に暗く成つて、炉の中が明く燃える。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
台所の炉傍に、その男の子とふたり並んで坐って、お客さんのように澄ましていた。
— 太宰治 『新樹の言葉』 青空文庫
四、五年前、この辺一帯ひどい不作で、精米の依頼もばつたり無くなつて、いや、困つてねえ、毎日毎日、炉傍に坐つて煙草をふかして、いろいろ考へた末、こんな機械を買つて、この工場の隅で、ばつたんばつたんやつてみたのだが、僕は不器用だから、どうしても、うまくいかないんだ。
— 太宰治 『津軽』 青空文庫
」と子供を叱るやうな口調で言ひ、「そんな工合ひに家の中で、じつと炉傍に坐つてゐる人と、井戸端へ出て洗濯してゐる人と、どつちが寒いか知つてゐますか。
— 太宰治 『お伽草紙』 青空文庫
その晩笹村は下の炉傍へ来て、酒をつけてもらったりした。
— 徳田秋声 『黴』 青空文庫
炉傍には、時々話し相手にする町の大きな精米場の持ち主も来て坐っていた。
— 徳田秋声 『黴』 青空文庫