輪さ
わさ
名詞
標準
文例 · 用例
気のせいか、沈んで、悄れて見える処へ、打撞かったその冷い紋着で、水際の立ったのが、薄りと一人浮出したのであるから、今その呼懸けたお三輪さえ、声に応じて、結綿の綺麗な姿が、可恐そうな、可憐な風情で、並んでそこへ、呼出されたように、座上の胸に描かれた。
— 泉鏡花 『吉原新話』 青空文庫
ともよは湊が中指に嵌めている古代|埃及の甲虫のついている銀の指輪さえそういうときは嫌味に見えた。
— 岡本かの子 『鮨』 青空文庫
すべて現世はひとつの大いなる鎖、一つの輪さえ知らば、おのずと本質も知れる。
— A STUDY IN SCARLET 『緋のエチュード』 青空文庫
そこへこなひだ内から縫取りをなすつた麻の地の机かけがかかつて、青い色の小さい花※にナスタシヤムの花が二輪さして載せてある。
— 鈴木三重吉 『桑の実』 青空文庫
またある時は輪さえ描く隙なきに乱れてしまう。
— 夏目漱石 『一夜』 青空文庫
四か月も二階に置いてもらううちに、半蔵はこの人を多吉さんと呼び、かみさんをお隅さんと呼び、清元のけいこに通っている小娘のことをお三輪さんと呼ぶほどの親しみを持つようになった。
— 第一部下 『夜明け前』 青空文庫
子供達は母と小さい自分の弟をとり巻いて、こないだのひなのかえった事からバラの一輪さいた事から私の部屋に鼠の出る様になったとやら障子の破けのふえた事まで話してきかせた。
— 宮本百合子 『千世子』 青空文庫
それというのが、この戦車には、地上を走る車輪さえついていないのであった。
— 海野十三 『未来の地下戦車長』 青空文庫