ばたばた
ばたばた
副詞
標準
文例 · 用例
自分も声を掛けなかった、三人も菓子とも思わなかったか、やがてばたばた足音がするから顔を出してみると、奈々子があとになって三人が手を振ってかける後ろ姿が目にとまった。
— 伊藤左千夫 『奈々子』 青空文庫
燈火の周圍にむらがる蛾のやうに、ある花やかにしてふしぎなる情緒の幻像にあざむかれ、そが見えざる實在の本質に觸れようとして、むなしくかすてらの脆い翼をばたばたさせる。
— 萩原朔太郎 『青猫』 青空文庫
月夜重たいおほきな羽をばたばたしてああ なんといふ弱弱しい心臟の所有者だ。
— 萩原朔太郎 『青猫』 青空文庫
さびしい花やかな燈火の奧にふしぎな性の悶えをかんじて重たい翼をばたばたさせるかすてらのやうな蛾をみるあはれな 孤獨の あこがれきつたいのちをみる。
— 萩原朔太郎 『青猫』 青空文庫
騷擾重たい大きな翼をばたばたしてああなんといふ弱弱しい心臟の所有者だ花瓦斯のやうな明るい月夜に白くながれてゆく生物の群をみよそのしづかな方角をみよこの生物のもつひとつの切なる感情をみよ明るい花瓦斯のやうな月夜にああなんといふ悲しげな いぢらしい蝶類の騷擾だ。
— 萩原朔太郎 『蝶を夢む』 青空文庫
月夜重たいおほきな翅をばたばたしてああ なんといふ弱弱しい心臟の所有者だ。
— 萩原朔太郎 『定本青猫』 青空文庫
その私の心はばたばたと羽ばたきして小鳥の死ぬるときの 醜いすがたのやうだ。
— 萩原朔太郎 『定本青猫』 青空文庫
風がそれを吹きつける時、ばたばたといふ寂しい音で、哄笑が洋燈を吹き消してしまふのである。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫