弥々
いよいよ
名詞
標準
文例 · 用例
然れども連日の東風弥々吹き募り、六月土用に入りても密雲冪々として天候朦々晴天白日を見る事殆ど稀なり(中略)毎日朝夕の冷気強く六月土用中に綿入を着用せり、夜は殊に冷にして七月|佞武多(作者註。
— 太宰治 『津軽』 青空文庫
「そうだ高笑いをした……シテ見れば弥々心変りがしているかしらん……」 ト思いながら文三が力無さそうに、とある桜の樹の下に据え付けてあッたペンキ塗りの腰掛へ腰を掛ける、と云うよりは寧ろ尻餅を搗いた。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
我の帰ッたのを知ッていながら、何奴も此奴も本田一人の相手に成ッてチヤホヤしていて、飯を喰ッて来たかと云う者も無い……アまた笑ッた、アリャお勢だ……弥々心変りがしたならしたと云うが宜、切れてやらんとは云わん。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
弥々本田が気に入ッたと云うんですか」 言様が些し烈しかッた。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
お前が弥々その気なら慈母さんも了簡が有るから」「慈母さん、今日から私を下宿さしておくんなさいな」「なんだネこの娘は、藪から棒に」「だッて私ア、モウ文さんの顔を見るのも厭だもの」「そんな事言ッたッて仕様が無いやアネ。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
よし自分の頭には解っていても、それを口にし文にする時にはどうしても間違って来る、真実の事はなかなか出ない、髣髴として解るのは、各自の一生涯を見たらばその上に幾らか現われて来るので、小説の上じゃ到底|偽ッぱちより外書けん、と斯う頭から極めて掛っている所があるから、私にゃ弥々真劒にゃなれない。
— 二葉亭四迷 『私は懐疑派だ』 青空文庫
十九世紀で暴威を逞くした思索の奴隷になっていたんで、それを弥々脱却する機会に近づいているらしく見える。
— 二葉亭四迷 『私は懐疑派だ』 青空文庫
聖人は赤児の如しという言葉が、其に幾らか似た事情で、かねて成り度いと望んでた聖人に弥々成って見れば、やはり子供の心持に還る。
— 二葉亭四迷 『私は懐疑派だ』 青空文庫