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腹一杯

はらいっぱい
名詞
1
標準
文例 · 用例
ものの一丁もあろうという河原から、丁場のウインチへ、「トロがトンボ(転覆)したから、捲くのを待て」というような場合、腹一杯喚かなければ、用が足りないのである。
――生きる為に―― 山谿に生くる人々 青空文庫
むしろ、あらゆる伝統を深く掘り下げ、噛みこなして、十二分に腹をこしらえてから後に、自分の腹一杯の声を出して、自分の中にある本当のものを正直に表現するのが本当の「野獣」である。
寺田寅彦 二科展院展急行瞥見記 青空文庫
以上は新春の屠蘇機嫌からいささか脱線したような気味ではあるが、昨年中頻発した天災を想うにつけても、改まる年の初めの今日の日に向後百年の将来のため災害防禦に関する一学究の痴人の夢のような無理な望みを腹一杯に述べてみるのも無用ではないであろうと思った次第である。
寺田寅彦 新春偶語 青空文庫
「――センターがなつかしかったえ」「野宿しても腹一杯食べた方がましか」「うん。
織田作之助 土曜夫人 青空文庫
家族一同腹一杯食べた余りを、闇で売るぐらい、あくどく役得を利用していた。
織田作之助 それでも私は行く 青空文庫
が、飯は腹一杯食べられない。
織田作之助 夜光虫 青空文庫
朝は大概寝坊をして、これがために昼飯を抜きにする事があるが、その代りに夜の十時頃から近所の牛肉屋へ上がって腹一杯に食う事も珍しくない。
寺田寅彦 まじょりか皿 青空文庫
遠慮ぶかく神經質な子もあることだから、みんなの食べるところはなるべく見ないやうにして、前の方に坐つた、明るい性質の腕白な子供と、「うまいか」「うまいなア」「お晝すぎにまたあげるよ」「をぢさんは欲しくないんか」「をぢさんはもう腹一杯食べちやつた」そんなやうな會話を駿介はしてゐた。
島木健作 續生活の探求 青空文庫